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賃貸アパート室内でタバコを吸った場合、退去の際、原状回復工事費の負担をめぐってトラブルになることがあります。タバコを吸った場合、賃借人の原状回復義務と費用負担額について解説します。
賃貸アパートの室内でタバコを吸うと、室内にタバコによる「黄ばみ」、「臭い」が残ります。タバコを吸った賃借人に原状回復義務があるのでしょうか。国土交通省の「原状回復ガイドライン」では「原状回復」を次ぎのように定義しています。
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意、過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」。
タバコを吸ったことにより付着した室内の「黄ばみ」、「臭い」は通常の使用をを超える使用による損耗とみなされ、賃借人は原状回復義務があります。
タバコによる壁等の「黄ばみ」、「臭い」によりクロスの張り替え工事をした場合、かかった工事費全額を賃借人が負担しなければいけないのでしょうか。
国土交通省の「原状回復ガイドライン」では、このように賃借人に原状回復義務がある場合でも、入居期間中に経年変化・通常損耗が発生しており、経過年数(入居年数)を考慮し、経過年数(入居年数)が長いほど賃借人の負担割合(額)を減少させ決めています。賃借人負担額は次のように計算します。
☆入居年数 2年(24ケ月)
☆毀損場所 壁クロス
☆耐用年数 6年(72ケ月)
☆原状回復費用 100,000円
☆賃借人負担額=100,000円×48ケ月/72ケ月
=66,667円
☆賃貸人負担額=100,000円×24ケ月/72ケ月
=33,333円
タバコによるクロス等の「黄ばみ」、「臭い」は使用を超える使用による損耗とみなされ、賃借人は原状回復義務があります。そして、入居期間に応じた原状回復費用を負担しなければいけません。
タバコを吸う方は、①吸う場合はベランダ等屋外で吸うことをおすすめします。また、②タバコは体に良いことは何もないので、この機会に禁煙することをおすすめします。
参考情報
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
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「原状回復費用の賃借人が負担する範囲と経過年数の考慮はどうするの?」
ガイドラインでは賃借人に原状回復義務がある場合、借主の負担については、建物、設備等の経過年数を考慮し、年数が長いほど負担割合を減少させる考えをとっています。しかし、場所、内容により「経過年数を考慮しない」場合もあります。「経過年数を考慮しない」意味と場所、理由について解説します。
ガイドラインでは賃貸物件の原状回復において「通常損耗等は貸主負担」という考えをとっています。通常損耗等は、建物等の経年劣化、減価償却に対応するするものであり、その割合は経過年数が長いほど大きくなります。設備等を全面的に取り替える場合、経過年数が短いほど通常損耗分の割合は小さくなり、経過年数が長いほど通常損耗分の割合は大きくなります。したがって、原状回復について借主負担を求める場合、「経過年数を考慮して」借主負担分を計算します。
一方で、次の場所については「経過年数を考慮しない」= 修繕費全額を借主が負担する考え方をとっています。
・フローリング
・柱
・鍵(紛失した場合)
・クリーニング(通常の清掃をしていない場合)
フローリングについては、
(1)補修を部分的に行ったとしても将来的には全体的に張り替えるのが一般的です。部分補修がなされたといってもフローリング全体としての価値が高まったとは評価出来ません(つぎはぎの状態になる)。部分補修の費用全額を借主が負担しても、貸主が当該時点におけるフローリングの価値(経年変化や通常損耗による減少を考慮した価値)を超える利益を獲得することにはならないので、「経過年数を考慮する必要はない」。
(2)形式的に経過年数を考慮すると、部分補修の前後でフローリングの価値は同等なのに、貸主が費用の負担を強いられるのは不合理である。こうした部分については「経過年数を考慮せず」部分補修費用は毀損を発生させた借主負担とするのが妥当である。
ただし、フローリング全体に渡っての毀損によりフローリング全体を張り替えた場合は、「経過年数を考慮する」のが妥当である。
・畳
・襖
襖紙、障子紙、畳表といったものは、消耗品としての性格が強く、毀損の軽重にかかわらず価値の減少が大きいため減価償却資産の考え方を取り入れることがなじまない。そのため、「経過年数を考慮せず」、張り替え費用を毀損を発生させた借主負担とするのが妥当である。
参考情報
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
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「原状回復費用の賃借人が負担する範囲と経過年数の考慮はどうするの?」
退去時、原状回復をめぐり貸主と借主の間でトラブルになることがあります。どうしたら、トラブルを未然に防げるのかポイントを紹介します。
退去時の原状回復をめぐるトラブルの大きな原因に、損耗・損傷が入居時からあったものなのか否か事実関係が判然としないことが挙げられます。入居期間が長期におよぶ場合、入居時の状況や損耗の程度があいまいになり責任の所在がはっきりしなくなります。入居時に入居者、不動産管理会社双方立ち会いのもと、室内の状況、損耗、汚れ等確認して記録に残し、写真を撮っておくことがトラブル防止に有効です。(株)丸井不動産では入居時、下記のチェックリストにもとづき入居者と確認をし記録を残しています。(写真添付)
契約で定められた借主の原状回復義務の範囲が「原状回復のガイドライン」に沿ったものであるか確認する必要があります。国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、「建物の経年劣化や賃借人の通常の使用による損耗」は賃借人の原状回復義務の範囲には入らないことを明らかにしています。標準契約書に則った契約を締結するとトラブル防止に有効です。
また、東京都では平成16年10月1日から賃貸住宅紛争防止条例を施行し、契約時に原状回復に関する下記内容について説明を行い、書面を交付することを賃貸借の媒介または代理を行う宅地建物取引業者に義務付けています。
【東京都賃貸住宅紛争防止条例に基づいて説明される内容】
・退去時の通常損耗等の復旧は、貸主が行うことが基本であること
・入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが基本であること
・賃貸借契約の中で、借主負担としている具体的な事項
・修繕、維持管理等に関する連絡先
国土交通省の「原状回復に関するガイドライン」や東京都の「賃貸住宅紛争防止条例」では、契約書に特約を設けることまで禁止していません。契約書に原状回復に関する特約がある場合には、借主に不利な内容になっていないか確認し、借主が負担する範囲、おおよその金額などについて説明を求めましょう。
ガイドラインでは、原状回復に関する借主に不利な内容の特約については、次のような要件を満たすことを要求しています。
➀ 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること。
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること。
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること。
契約する前に内容をよく確認しましょう。
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「原状回復費用の賃借人が負担する範囲と経過年数の考慮はどうするの?」
建物の経年劣化や賃借人の通常の使用による損耗は賃借人の原状回復義務の範囲には入りません。賃貸人が修繕費用を負担しなければいけません。それに対して賃借人の故意・過失による建物の劣化等は賃借人の原状回復義務の対象であり、賃借人が修繕費用を負担しなければいけません。具体的には次のようになります。
参考情報
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
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「原状回復費用の賃借人が負担する範囲と経過年数の考慮はどうするの?」
クリーニング費用が借主負担となるのは、「借主が通常の清掃や退去時の清掃を怠った場合」です。このクリーニング費用を借主負担とする特約が付いている場合があります。どういう条件の場合、この特約が有効になるのでしょう。次の要件を満たす場合です。
賃貸借契約であっても、強行規定(例えば、借地借家法や消費者契約法の規定)に反しなければ、当事者の合意で特約を設けることができます。
ただし、最高裁は経年変化や通常損耗分の修繕義務を賃借人に負担させる特約について、➀賃借人が負担することになる通常損耗及び、経年変化の範囲を明確に理解していること。そして、②そのことを合意したことが認められるなど、通常損耗補修特約が明確に合意されていることが必要であるとの判断を示しています。
そのため、ガイドラインは借地借家法、消費者契約法等の趣旨や、最高裁の判例等をふまえ、借主負担のクリーニング特約等「原状回復に関する賃借人に不利な内容の特約」については、次の用件を満たすことを要求しています。
以上3つの要件を満たしている特約であれば有効です。
契約する前に内容をよく確認しましょう。
賃借人は賃借物を善良な管理者としての注意を払って使用する義務を負っています(民法400条)。建物の賃借の場合には「建物の賃借人として社会通念上要求される程度の注意を払って建物を使用しなければなりません。」これを賃借人の善管注意義務といいます。
日頃の通常の清掃や退去時の清掃は賃借人の善管注意義務に含まれます。賃借人が故意にまたは不注意で賃借物に対して、通常の使用をした場合より大きな損耗、損傷等を生じさせた場合、
例えば、
➀通常の掃除を怠ったことによって特別の掃除をしなければ除去できないカビ等の汚損を生じさせた場合。
②飲み物をこぼしたままにする。
③結露を放置したことにより物件にシミ等を発生させた場合。
賃借人は善管注意義務違反によって損害を発生させたことになります。その場合、賃借人が原状回復義務を負い、その修繕費は賃借人が負担することになります。
また、物件や設備が壊れて修繕が必要となった場合、賃貸人は修繕する義務があります。このような場合、賃借人は賃貸人に通知しなければなりません。
④この通知を怠り物件に被害が生じた場合(例えば、水道からの水漏れを賃貸人に知らせなかったたため、階下の部屋まで水漏れが拡大した場合)、損害賠償を求められる場合があります。
次のような場合、善管注意義務違反になります。
通常、退去立ち会い時、カギの返却とともに室内の点検、チェックを行います。その際あった傷、損傷が入居中に発生したものか、もともと入居時からあったものかを巡ってトラブルになることがあります。
こうしたトラブルを未然に防ぐには、
ことが重要です。
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「原状回復基礎知識」
賃借人に原状回復義務がある場合、どの範囲まで負担しなければいけないのでしょうか。また、借りている建物や設備は入居中「経年変化」や「通常損耗」により減価しています。これらはどのように考慮されるのでしょうか。次のようになります。
原則1枚単位。毀損部分が複数枚の場合は枚数分。
毀損等が複数箇所の場合は居室全体。
原則㎡単位。毀損等が複数箇所の場合は居室全体。
㎡単位が望ましいが、賃借人が毀損した場所を含む一面分までは張り替え費用を賃借人負担としてもやむをえないとする。
喫煙等により当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、居室全体のクリーニング又は張り替え費用を賃借人負担とすることが妥当と考えられる。
1枚単位
補修部分、交換相当費用
補修部分、紛失の場合は、シリンダー交換も含む
部位ごと、又は住戸全体
賃借人の故意・過失によって建物が毀損して賃借人が修繕費を負担しなければならない場合であっても、建物に発生する経年変化・通常損耗分は、既に賃借人は賃料として支払っています。明け渡し時に賃借人がこのような分まで負担しなければならないとすると、賃借人は経年変化・通常損耗分を二重に支払うことになってしまいます。そこで賃借人の負担については、建物や設備等の経過年数を考慮し、経過年数が長いほど負担割合を減少させることとするのが適当です。
経過年数による減価割合については、本来は個別に判断すべきですが、ガイドラインは目安として法人税法等による減価償却資産の考え方を採用することとしています。すなわち、減価償却資産ごとに定められた耐用年数で残存価値が1円となる直線を描いて、経過年数により賃借人の負担を決定するのがガイドラインの考え方です。実務的には経過年数ではなく、入居年数で代替します。
☆入居年数 2年(24ケ月)
☆毀損場所 壁クロス
☆耐用年数 6年(72ケ月)
☆原状回復費用 100,000円
賃借人負担額 = 100,000円 × 48ケ月/72ケ月
= 66,667円
賃貸人負担額 = 100,000円 × 24ケ月/72ケ月
= 33,333円
このように入居期間中の損耗分は賃貸人が負担します。
ただし、毀損部分により「経過年数を考慮せず」= 修繕費を全額賃借人が負担する場所もあります。
毀損場所ごとの「経過年数の考慮」は次のとおりです。
経過年数は考慮しない(修繕費を全額賃借人が負担)。
6年で残存価値1円となる負担割合を算定する。
補修は経過年数を考慮しない(修繕費を全額賃借人が負担)。
フローリング全体にわたる毀損等があり、張り替える場合は、当該建物の耐用年数で残存価値1円となる負担割合を算定する。
6年で残存価値1円となる負担割合を算定する。
経過年数は考慮しない(修繕費を全額賃借人が負担)。
耐用年数経過時点で残存価値1円となる負担割合を算定する。
・流し台
・冷房、暖房用機器(エアコン、ストーブ等)
・冷蔵庫、ガス機器(ガスレンジ)
・インターホン
・主として金属製以外の家具(書棚、タンス、戸棚、茶ダンス)
・便器、洗面台等の給排水、衛生設備
・主として金属製の器具、備品
・ユニットバス、浴槽、下駄箱(建物に固定して一体不可分なもの)
当該建物の耐用年数
・木造(住宅用) 22年
・鉄骨鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリート造(住宅用) 47年
・重量鉄骨造、鉄骨造 34年
・軽量鉄骨造(厚さ3mm~4mm) 27年
紛失の場合は経過年数を考慮しない。交換費用相当分を借主負担とする。
経過年数は考慮しない。通常の清掃を実施していない場合、部位もしくは住戸全体の清掃費用相当分を借主負担とする。
参考情報
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
「原状回復費用を賃借人が負担する際、「経過年数を考慮しない」とはどういうことですか?」
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建物賃貸借契約では一般的に賃借人は退去時、物件を「原状に回復して」明け渡さなければならない旨が規定されています。この原状回復義務に基づいて、その範囲や金額をめぐってトラブルがよく発生します。裁判所の考え方および、国土交通省が 出している賃貸住宅の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)の考え方について紹介します。
「原状回復」とは①建物の通常損耗分をもとの状態に回復するのではなく、②賃借人の故意、過失等による劣化の回復を意味するとの判断を示してきました。賃貸借契約の対象となる建物の価値は、時間の経過とともに減少するものであり、賃借人が物件を定められた使用方法に従って、社会通念上通常に使用していれば、賃貸借契約終了時に当初の状態よりも建物の価値が減少していたとしても、そのまま賃貸人に返還すればよい、という考えかたに基づいています。
建物の通常損耗分は、賃貸人としては建物の減価が進行する過程で減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料に含めて支払いを受けて回収してきているので、原状回復の対象となるのは、「賃借人の故意・過失等による劣化分」ということです。
ガイドラインでは裁判所の考え方を取り入れ、建物の損耗等、建物価値の減少を
➀-A
建物・設備の自然的な劣化・損耗等(経年変化)
➀-B
賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)
②
(1)賃借人の故意・過失、善管注意義務違反
(2)その他通常の使用を超えるような使用による損耗等
に区分しています。
そして原状回復とは
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、②の(1)「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反」、(2)「その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。
参考情報
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
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すなわち
それに対して
また、
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