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不動産投資分析基礎講座 目次
賃貸アパート経営の出発点は「投資判断」にあるといえます。新築の場合であれ、リフォームの場合であれ「投資」という側面から分析する必要があります。その際、出発点となるのが「キャッシュフローツリー」です。キャッシュフロー・ツリーとは賃貸アパート経営において、「どれだけのお金が入り」、「どのような損失があり」、「どれだけのコストがかかり」、「借り入れの返済をする」と、「どれだけのキャッシュ(現金)が残ったか」お金の流れを表すものです。そして、これらの投資指標は「リスクを計る物差し」となり、不動産投資による破綻を防ぐ安全弁、羅針盤の役割を果たしてくれます。では、その中身について解説します。
キャッシュフロー・ツリーの構造は次のようになっています。
➀ 総潜在賃料収入 (PRI)
②+△賃料差異
③△空室損
④△賃料未回収損
⑤ 実効賃料収入(➀+-②-③-④) (ERI)
⑥ その他の収入
⑦ 総営業収入(⑤+⑥) (GOI)
⑧△運営コスト
⑨ 営業純利益(⑦-⑧) (NOI)
⑩△年間借入金返済(ADS)
⑪ キャッシュフロー(税引前)(⑨-⑩)(CF)
この賃料で募集できると想定した賃料で稼動率100%の賃料合計です。たとえば、賃料10万円の部屋が10世帯の場合、月間100万円、年間1,200万円の総潜在賃料収入があるといいます。
賃料の合計を100万円で査定して募集したけれど、実際には95万円でしか決まらなかった場合、この5万円の賃料差異を「未達成損」といいます。逆に、時間がかかってもいいから想定よりも高い家賃で募集して105万円で決まった場合、この5万円を「上積み差異」といいます。
入居者が退去して、次ぎの入居者が決まるまでの空室による賃料収入の損失分です。
賃料の滞納により回収出来ない賃料を賃料未回収損です。入居促進のために行うフリーレントも賃料未回収損に含まれます。
➀総潜在賃料収入から②賃料差異、③空室損、④賃料未回収損を引いたものが「実効賃料収入」です。
その物件に関連して、オーナーが賃料以外に得る収入です。たとえば、(1)駐車場収入、(2)自動販売機収入、(3)看板収入等があります。
⑤実効賃料収入に⑥その他の収入をたしたものが「総営業収入」です。
物件の運営に必要な共用電気代、修繕費、定期設備点検管理費用、管理会社に支払う管理料、固定資産税、保険料等のすべての経費です。
⑦総営業収入から⑧運営コストを引いたものが「営業純利益」です。年間の手取り賃料収入で「ネット収入」、「実質収入」ともいいます。物件の収益性は「NOI」で計ることができるので一番重要な指標です。
借入金の年間に返済する金額をいいます。借入金年間返済額は「借入金額」、「金利」、「返済年数」で決まります。
⑨営業純利益から⑩年間借入金返済を引くと「キャッシュフロー(税引前)」がでます。
「この物件は利回り10%だからいい物件だ」とか「利回りが5%しかない」などと「利回り」という言葉を使います。利回りといっても色々な利回りがあります。それぞれの利回りの中身について見ていきましょう。
物件Aを例に解説します。条件は下記のとおりとします。
(物件A)
購入総コスト 1億円
自己資金 1,000万円
借入金 9,000万円
ローン条件 金利2%
返済期間30年
総潜在賃料収入 1,000万円
営業純利益(NOI)率 70%
物件Aのキャッシュフロー・ツリーは次のようになります。
(物件Aの収支)
総潜在賃料収入 1,000万円
営業純利益(NOI) 700万円
年間借入金返済 △ 400万円
キャッシュフロー 300万円
「表面利回り」は
想定する家賃収入の最大値、満室の場合の総潜在賃料収入を購入総コストで割ったものです。
物件Aの場合の表面利回りは
表面利回り
=総潜在賃料収入÷総購入コスト
=1,000万円 ÷ 1億円
=10%になります。
「NOI利回り」は
想定する家賃収入の最大値、総潜在賃料収入から空室損失、滞納家賃未回収分、運営費等を控除した営業純利益(NOI)を購入総コストで割ったものです。別名「実質利回り」ともいいます。
物件Aの場合のNOI利回りは
NOI利回り
=営業純利益(NOI)÷総購入コスト
=700円 ÷ 1億円
=7% になります。
賃貸アパート、マンションでは「空室損失」や「運営コスト」等の控除額は「総潜在賃料収入」の20~30%あります。つまり、総潜在賃料収入に対するNOI率は70~80%ということになります。
① 賃貸アパート、マンションの入居募集において現在の入居者が退去したら現在の家賃では入居が決まらない場合がよくあります。不動産投資において、その物件の現在の正しい賃料を把握することは重要です。
② また、物件により空室損や運営コストが異なります。表面利回りが高くてもNOI利回りが低い場合があります。表面利回りに惑わされず、NOI(営業純利益)利回りを正しく把握、推測することが重要です。
不動産投資のリスクを計る物差しとして、収入と返済のバランスを見る指標に「返済倍数」があります。「借入金償還余裕率」ともいいます。「返済倍数」は次の式で表されます。
返済倍数(DCR)
=営業純利益(NOI)÷年間借入金返済額(ADS)
物件Aの場合は、営業純利益(NOI)が700万円で年間借入金返済額(ADS)が400万円なので、
返済倍数(借入金償還余裕率)は
700万円÷400万円=1.75です。
借入金返済額を1とした場合、その1.75倍の返済原資があることを表します。
この数値は大きければ大きいほど安全な投資といえます。一般的に、住居系の場合は1.5~1.7は欲しいところです。
この数値が下がる要因としては次の場合が考えられます。
➀ 賃料収入が下がる(賃料そのものが下がる、入居率が下がり賃料収入が下がる)。
② 金利が上昇して借入金返済額が増える。
③ 運営経費が増加する。
将来のことは不確定な部分がありますが、➀、②、③が同時にくることがあるかもしれません。投資する時にはこの返済倍数(借入金償還余裕率)を計算し、投資の安全性をを慎重に検討しましょう。
投資した自己資金がどれくらいの利回りでまわっているか表す自己資金利回りは「投資した自己資金」に対して「いくらのキャッシュフロー」が生まれたかを表します。次の式で表されます。
自己資金利回り(CCR)
=キャッシュフロー÷自己資金
物件Aの場合は、キャッシュフローは営業純利益(NOI)が700万円、年間借入金返済額(ADS)が400万円なので、(700万円-400万円) =300万円です。
自己資金1,000万円出していますから
自己資金利回り(CCR)
=300万円÷1,000万円
=30%
物件AのNOI利回り(全額自己資金で購入した場合)は700万円÷1億円=7%(自己資金利回り)ですが、
ローン(9,000万円)を組むことによって、出した自己資金1,000万円の自己資金利回りは30%に跳ね上がりました。
これを「レバレッジがきいた」といいます。
物件Aを1億円全額自己資金で買うと700万円のキャッシュフローしか生み出されません。
しかし、仮に物件A(自己資金1,000円、借入金9,000万円)と同じような物件を10棟買って、9億円(9,000万円×10棟)のローンを組めば、1億円(1,000万円×10棟)の自己資金に対して3,000万円のキャシュフローが生まれます。
自己資金利回り30%です。
しかし、これは9億円という借入金をするリスクをとった結果生まれたものです。
「ペイバック」は投資した自己資金が何年で回収できるかという指標です。
ペイバック
=自己資金÷キャッシュフロー
物件Aに当てはめると、自己資金1,000万円、キャッシュフロー300万円なので
ペイバック
=1,000万円÷300万円
=3.33年
投資した1,000万円が3.33年で回収できることを表しています。
年間借入金返済(ADS)を決める要素には次の3つがあります。
➀ 金利
② 返済期間
③ 借入金額
この3要素と返済額との関係は
・金利が上がると
→ 返済額は → 上がる
・返済期間が長くなると
→ 返済額は → 下がる
・借入金額が大きくなると
→ 返済額は → 上がる
そして、借入金返済額の内訳は「借入元本の返済」と「支払い金利」です。
「年間借入金返済」の支払い方法には「元利均等払い」と「元金均等払い」があります。
「元利均等払い」は元金と利息を含めた毎月の返済額が同じになるように返済する方法です。毎月の返済額が一定なので返済計画が立てやすく、一般的にはこの方法が採用されています。
「元金均等払い」は借入金額を支払い回数で割った金額を均等に返済していく方法です。毎月返済する元金は一定ですが、利息分は元金が徐々に減っていくので、その都度減っていきます。「元利均等払い」より利息として払う金額は少なく済み、毎月の支払い額も徐々に少なくなります。しかし、当初の毎月支払い額は大きくなります。
ローン定数とは借入金額に対する年間借入金返済額の割合をいいます。
ローン定数(K%)
=年間借入金返済額(ADS)÷借入金額(Loan)
事例Aの場合、借入金額9,000円、金利2%、融資期間30年で、年間返済額は約400万円なので
ローン定数は
400万円÷9,000万円
=4.44% になります。
同じローン条件であれば、
1億円借りた場合、
年間借入金返済額
=1億円×4.44%
=444万円
5,000万円借りた場合、
年間借入金返済額
=5,000万円×4.44%
=222万円
ローン定数は
借りる側から見ると、資金の「調達コスト」という見方ができます。
貸す側から見れば「貸した資金の利回り」という見方ができます。
キャッシュフロー利回りとは、「購入総コストに対してキャッシュフローがどれくらいあるか」その割合を表す指標です。
式で表すと次のようになります。
キャッシュフロー利回り
=NOI利回り-返済割合(K%×LTV)
返済割合(K%×LTV)
=年間返済額(ADS)÷購入総コスト
=ローン定数(K%) ×LTV(融資比率)
LTV(融資比率)
=Loan÷Value
=借入金額÷購入総コスト
事例Aの場合(総購入コスト1億円のうち、全額借り入れした場合、LTV=100%)、計算すると
キャッシュフロー利回り
=NOI利回り-返済割合(K%×LTV)
=700万円/1億円-444万円(4.44%×100%)/1億円
=256万円/1億円
=2.56%
事例Aの場合(総購入コスト1億円のうち、9,000万円借り入れ1,000万円自己資金、LTV=90%)、計算すると
キャッシュフロー利回り
=NOI利回り-返済割合(K%×LTV)
=700万円/1億円-400万円(4.44%×90%)/1億円
=300万円/1億円
=3.00%
自己資金10%(1,000万円)を入れたことにより、キャッシュフロー利回りは2.56% → 3.00%に上昇しました。
キャッシュフロー利回りは(NOI利回り-返済割合)で計算します。
それに対して、返済倍数は(NOI利回り÷返済割合)で計算します。
返済倍数をキャッシュフロー利回りと同じように分母を購入総コストで表すと次のようになります。
返済倍数
=NOI利回り÷返済割合
=NOI/購入総コスト÷年間返済額(ADS)/購入総コスト
=700万円/1億円÷400万円/1億円
=7%÷4%
=1.75
どちらも営業純利益(NOI)と年間借入金返済額(ADS)のバランスを見る指標です。
投資指標である表面利回り 、NOI利回り、返済割合、CF利回り、CF、返済倍数、自己資金利回り のそれぞれの関係を融資比率ごとに一覧表にまとめました。
(前提条件)
(1) 総コスト 1億円
(2) 金利 2%
(3) 30年返済 ローン定数4.44%
(4) NOI率 75%
表面利回り(%) 6.51 7.70 8.88 10.06 11.84
NOI利回り(%) 4.88 5.77 6.66 7.55 8.88
返済割合(%) 4.44 4.44 4.44 4.44 4.44
CF利回り(%) 0.44 1.33 2.22 3.11 4.44
CF(万円) 44 133 222 311 444
返済倍数(DCR) 1.10 1.30 1.50 1.70 2.00
自己資金利回り - - - - -
表面利回り(%) 5.87 6.93 8.00 9.07 10.67
NOI利回り(%) 4.40 5.20 6.00 6.80 8.00
返済割合(%) 4.00 4.00 4.00 4.00 4.00
CF利回り(%) 0.40 1.20 2.00 2.80 4.00
CF(万円) 40 120 200 280 400
返済倍数(DCR) 1.10 1.30 1.50 1.70 2.00
自己資金利回り 4.00 12.00 20.00 28.0 40.00
表面利回り(%) 5.20 6.15 7.10 8.04 9.46
NOI利回り(%) 3.90 4.61 5.32 6.03 7.10
返済割合(%) 3.55 3.55 3.55 3.55 3.55
CF利回り(%) 0.35 1.06 1.77 2.48 3.55
CF(万円) 35 106 177 248 355
返済倍数(DCR) 1.10 1.30 1.50 1.70 2.00
自己資金利回り 1.77 5.32 8.87 12.42 17.74
表面利回り(%) 4.55 5.38 6.21 7.04 8.28
NOI利回り(%) 3.42 4.04 4.66 5.28 6.21
返済割合(%) 3.10 3.10 3.10 3.10 3.10
CF利回り(%) 0.31 0.93 1.55 2.17 3.10
CF(万円) 31 93 155 217 310
返済倍数(DCR) 1.10 1.30 1.50 1.70 2.00
自己資金利回り 1.03 3.10 5.17 7.24 10.35
表面利回り 8.8%
NOI利回り 8.88×0.75=6.66%
返済割合
ローン定数4.44%×融資比率100%=4.44%
キャッシュフロー利回り
NOI利回り6.66%-返済割合4.44%=2.22%
キャッシュフロー
1億円×キャッシュフロー利回り2.22%=222万円
返済倍数(DCR)
NOI利回り6.66%÷返済割合4.44%=1.5
表面利回り 6.21%
NOI利回り 6.21×0.75=4.66%
返済割合ローン定数4.44%×融資比率70%=3.10%
キャッシュフロー利回り
NOI利回り4.66%-返済割合3.10%=1.55%
キャッシュフロー
1億円×キャッシュフロー利回り1.55%=155万円
返済倍数(DCR)
NOI利回り4.66%÷返済割合3.10%=1.5
自己資金利回り
キャッシュフロー155万円÷自己資金3,000万円=5.17%
自己資金3,000万円、借入金7,000万円、総額1億円の投資をして、年間キャッシュフローが155万円ということは、良い投資とは言えません。
表面利回り 10.06%
NOI利回り 10.06×0.75=7.55%
返済割合ローン定数4.44%×融資比率100%=4.44%
キャッシュフロー利回り
NOI利回り7.55%-返済割合4.44%=3.11%
キャッシュフロー
1億円×キャッシュフロー利回り3.11%=311万円
返済倍数(DCR)
NOI利回り7.55%÷返済割合4.44%=1.7
返済倍数が1.7以上あったほうが安心です。その場合、表面利回りは10%以上でないと1.7以上にはなりません。
➀ 総コスト 1億円
② 金利 2%
③15年返済 ローン定数7.72%
④ NOI率 75%
表面利回り(%)11.33 13.38 15.44 17.50 20.59
NOI利回り(%) 8.49 10.04 11.58 13.13 15.44
返済割合(%) 7.72 7.72 7.72 7.72 7.72
CF利回り(%) 0.77 2.32 3.86 5.41 7.72
CF(万円) 77 232 386 541 772
返済倍数(DCR) 1.10 1.30 1.50 1.70 2.00
自己資金利回り - - - - -
表面利回り(%)10.19 12.06 13.90 15.75 18.53
NOI利回り(%) 7.64 9.03 10.42 11.81 13.90
返済割合(%) 6.95 6.95 6.95 6.95 6.95
CF利回り(%) 0.69 2.08 3.47 4.86 6.95
CF(万円) 69 208 347 486 695
返済倍数(DCR) 1.10 1.30 1.50 1.70 2.00
自己資金利回り 6.95 20.85 34.75 48.65 69.50
表面利回り(%) 9.06 10.71 12.36 14.00 16.47
NOI利回り(%) 6.80 8.03 9.27 10.50 12.36
返済割合(%) 6.18 6.18 6.18 6.18 6.18
CF利回り(%) 0.62 1.85 3.09 4.32 6.18
CF(万円) 62 185 309 432 618
返済倍数(DCR) 1.10 1.30 1.50 1.70 2.00
自己資金利回り 3.09 9.27 15.44 21.62 30.89
表面利回り(%) 7.93 9.37 10.81 12.25 14.41
NOI利回り(%) 5.95 7.03 8.11 9.19 10.81
返済割合(%) 5.41 5.41 5.41 5.41 5.41
CF利回り(%) 0.54 1.62 2.70 3.78 5.41
CF(万円) 54 162 270 378 541
返済倍数(DCR) 1.10 1.30 1.50 1.70 2.00
自己資金利回り 1.80 5.41 9.01 12.61 18.02
表面利回り 12.25%
NOI利回り 12.25×0.75=9.19%
返済割合
ローン定数7.72%×融資比率70%=5.40%
キャッシュフロー利回り
NOI利回り9.19%-返済割合5.40%=3.79%
キャッシュフロー
1億円×キャッシュフロー利回り3.79%=379万円
返済倍数(DCR)
NOI利回り9.19%÷返済割合5.40%=1.7
自己資金を30%出しても返済期間15年の場合、表面利回りは12.25%以上でないと返済倍数(DCR)は1.7になりません。
① 返済倍数(DCR)は投資指標として、借入金返済破綻のリスクを端的に表しています。1.7以上あれば安心ですが、
②「物件の力」を表す「NOI利回り」、総投資額に対してどれくらいのキャッシュが残るか表す「キャッシュフロー利回り」、投資した自己資金に対する利回り「自己資金利回り」等、複数の投資指標で多面的に分析、検討することが重要です。
投資の安全マージンを計る物差しである「返済倍数(DCR)」を考慮しながら、1.新築等の場合の物件購入コストのを計算のしかた。2.リニューアルする場合のコストの計算のしかた。3.中古物件を購入する場合のコストの計算のしかた。について解説します。
投資の安全マージンを計る物差しである「返済倍数(DCR)」から物件の購入コストを計算する方法です。
まず、
➀ 該当物件のNOIを調べる。または、査定する。
② ローン条件(金利、返済年数からローン定数(K%)をだす、調べる
③ 自己資金を出す割合(融資比率LTV)を決める
④ あるべき返済倍数(DCR)を設定する(1.5~1.7以上)
を決めます。
次の式に➀~④を当てはめます。
コスト = NOI ÷ (K% × LTV × DCR)
(例えば)
・NOIが640万円
ローン条件は
・金利2%
・返済期間30年
・ローン定数4.44%
・自己資金10%(融資比率LTV90%)
・返済倍数(DCR)1.6は欲しい場合の購入コストは
コスト = 640万円 ÷ (4.44% × 0.9 × 1.60)
= 640万円 ÷ (4.00% × 1.60)
= 640万円 ÷ 6.41%
= 1億円
1億円までかけてよい計算になます。
(事例B)
物件Bは築20年、8世帯、現在空室が3世帯、5万円で募集していますが建物設備が陳腐化し6ケ月以上空室が続いています。そのため、建物設備等を最近の入居者ニーズに合わせ、1世帯当たり150万円かけてリニューアルすることにしました。そして、リニューアル後は7万円で貸せる場合(ただし空室損失、運営コストを20%とします)の収支分析をしてみます。
リニューアル工事のNOI利回りの計算
リニューアル工事により賃料がアップした分(7万円-5万円=2万円)がリニューアル工事による収益アップ分になります。
NOI利回り
=(7万円-5万円)×3戸×80%×12ケ月/450万円
=57.6万円/450万円
= 12.8%
リニューアル工事の返済倍数(DCR)の計算
リニューアルNOI
= (7万円-5万円)×3戸×80%×12ケ月
= 57.6万円
リニューアルコスト450万円を、
金利2%、15年ローンで借り入れた場合
年間返済額 = 月額返済額29,000円 × 12ケ月
= 34.8万円
返済倍数(DCR) = 57.6万円 ÷ 34.8万円
= 1.65
リニューアル工事のコストの計算のしかた
リニューアル工事の場合も新築の場合と同様の計算式で計算します。
事例Bで
➀ NOIが57.6万円
② ローン条件
金利2% 15年返済(ローン定数 7.72%)
③ 全額借入
④ 返済倍数(DCR)は1.5でよいとします。
コスト = リニューアルNOI ÷ (K% × LTV × DCR)
= 57.6万円 ÷ (7.72% × 100% × 1.50)
= 57.6万円 ÷ 11.58%
≒ 497万円
497万円までかけていい計算になります。
中古物件を購入する場合、購入後のリニューアルコストも考えなければなりません。中古物件を購入する場合は次の➀~⑤を検討して希望購入価格を見積もりましょう。
➀ どの程度のリニューアルをする必要があるか
② そのリニューアルをしたら、いくらで貸せるか(NOI)
③ そのリニューアルをするのにいくらかかるか(リニューアルコスト)
④ 融資条件を調べる(ローン定数K% 融資比率LTV)
⑤ 希望する返済倍数(DCR)を設定する
次の式に②~⑤を当てはめます。
コスト = NOI ÷ (K% × LTV × DCR)
尚、総コスト = 不動産購入コスト + 購入後のリニューアルコストになります。
今まで見てきた投資指標はいずれも単年度の指標です。 賃貸アパート経営は5年、10年と続くものです。20年、30年先は予測出来ませんが、「現状のまま何もしない」場合と「リニューアルした」場合の5年後、10年後を中期予想し投資分析する視点も重要です。
賃貸アパートも築10年を過ぎ、特に20年を過ぎてくると➀建物設備、仕様の陳腐化、②賃貸市場、入居者ニーズの変化等により空室になる場合が増えてきます。空室は色々な要因が重なって発生します。長期空室を出さないための空室対策を9ケ条にまとめました。
目次
1.賃料の適正化
3.間取り
4.外観・外構
5.設備・仕様
6.ソフトコンテンツ
関連記事
空室になった時、家賃を下げたほうがよいのか、下げないで頑張ったほうがよいのか迷うことがあります。稼働率から分析してみましょう。
平均空室日数
=(365日×空室率)÷解約率
=(365日×10%)÷25%
=146日(約5ケ月)/戸
平均空室日数
=(365日×空室率)÷解約率
=(365日×2%)÷25%
=29.2日(約1ケ月)/戸
平均居住月数
=(100%/解約率×12ケ月)-平均空室月数
=(100%÷25%×12ケ月)-1ケ月
=47ケ月
4ケ月(5ケ月-1ケ月)
家賃収入の差は
6万円×4ケ月=24万円
月当たりの差は
24万円÷47ケ月=5,106円/月
家賃を5,000円下げ55,000円にしても、空室期間が1ケ月になるのであれば年間の収入は変わらないことになります。(厳密には家賃が下がり4ケ月間の収入も減るので4,706円の値下げをした場合)
関連記事
「解約率と平均居住期間から逆算すると家賃はいくら値下げできるの?」
賃料以外の募集条件を見直すことも空室対策になります。変更内容によっては一時的に減収になりますが、賃料を下げることは避けられます。
具体的変更(見直し)内容としては、以下のようなものがあります。
➀ フリーレント
② 礼金・敷金の割引
③ ペット可
④ キャンペーン割引
⑤ 家具・家電付き
⑥ 入居者限定(女性限定、学生限定など)の解除
フリーレントとは入居後の一定期間(1~2ケ月)賃料を無料にする方法です。事務所、店舗の募集では一般的に行われていますが、住居系でも普通に行われるようになってきています。貸主側からみると賃料を下げずに入居促進を図ることができます。
礼金、敷金を少なく又は、ゼロにし、契約時の初期費用を少なくして借りやすくする方法です。沼田市では、礼金は一部の新築の場合を除き、ほとんどの物件がゼロで募集しています。敷金も減少傾向です。また、物件によっては仲介手数料ゼロ(貸主が仲介手数料を支払う)の物件もあります。賃料以外の契約時初期費用を下げることも入居促進を図るのに有効な方法です。
「ペット飼育禁止」を「ペット飼育可」にして募集する方法です。ペツト可物件が需要に対して供給が少ないので入居促進を図るのに有効な方法です。ただし、既存の入居者とトラブルになる可能性があります。
半年から1年又は、翌年3月まで等、期間を限定して賃料を割り引く方法です。キャンペーン期間中は減収になりますが、募集家賃が下がるので入居促進を図りやすく、キャンペーン期間が過ぎれば家賃は元に戻ります。
ベット、テーブル、机、冷蔵庫等誰でも使う家具、家電を初めから設置して入居者にそのまま使ってもらう募集方法です。入居者にとっては購入費用が浮くだけでなく、部屋を案内した時に「住んだ時のイメージがしやすい」という効果があります。ただし、好みでない家具、家電が付いていた場合、逆効果になる場合もあるので家具、家電無しでも可としたほうがよいでしょう。
「女性限定」、「学生限定」などの限定を解除し募集の間口を広げて募集する方法です。間口を広げることにより決まりやすくなります。ただし、綺麗に使ってくれる(女性限定の場合)、連帯保証人がしっかりしている(学生限定の場合)等の限定したことによるメリットはなくなります。
沼田市のような駐車場が必要なエリアでは駐車場は必ず必要台数確保すべきです。ワンルームの場合、世帯1台。1LDK、2LDKの場合は世帯2台。敷地内に確保できない場合は近隣の月極駐車場をオーナーが借りて確保すべきです。
どの募集条件の見直しが有効なのかは賃貸市場、物件の状況により異なります。その地域の賃貸市場の状況を一番把握している入居募集を依頼している不動産会社に相談し実施することが重要です。
入居者が部屋探しする際に最も重視するのが間取りです。「間取り」の中身は2DK、3DKというタイプの違いだけでなく、「部屋数」、「専有面積」、「使い勝手」、「各部屋の大きさのバランス」、「収納力」等さまざまな要素が含まれます。かつて2DK、3DKが代表的な間取りでした。しかし。時代とともに入居者の生活スタイルが変わり入居者が好む間取りも変わってきています。空室対策を行ううえでも入居者の好む間取りに変更することは非常に重要です。入居者から間取りについて要望の高い項目としては次のとおりです。
代表的な2DKは「6畳+6畳+DK6畳+収納1.5畳」でバス・トイレ・廊下を除いた面積は19.5畳です。この間取りの中で
➀DK6畳はダイニングテーブルを置いても狭くて単なる配膳テーブルになってしまいます。
②6畳の部屋では「大型液晶テレビ+AV機器+ソファー+パソコンコーナー」を置くと狭くなってしまいます。
③ベットルームはダブルベットが置ければ広さ的には大丈夫です。そこで、次のように間取りを変更します。
(代表的な2DK)
和室6畳+和室6畳+DK6畳+収納1.5畳=合計19.5畳
⇩
(入居者に好まれる間取り)
洋室4.5畳+LDK12畳+収納3畳=合計19.5畳
(代表的な3DK)
和室4.5畳+和室6畳+和室6畳+DK6畳+収納2畳=合計24畳
⇩
(入居者に好まれる間取り)
洋室4.5畳+洋室6畳+LDK12畳+収納2畳=合計24畳
2LDKタイプを希望する入居者は新婚、DINKS(共働き、子供なし、)、同棲等の「2人入居」が中心で、子供がいても乳幼児や就学前であることが多い。そのため、2部屋目を小さくしDEN(書斎・小さい私室)にし、その分LDKを広くしたほうが入居者に喜ばれます。
(よくある2LDK)
洋室6畳+洋室6畳+LDK10畳=合計22畳(収納を除く)
⇩
(入居者に好まれる間取り)
洋室6畳+DEN(書斎・小さい私室)3畳+LDK13畳=合計22畳(収納を除く)
入居者の好む間取りに変更することは空室対策をする上で大変重要です。ただし、費用もかかります。どこまで間取り変更するかは募集管理を依頼している不動産会社とよく相談し行ってください。
築23年外壁塗装後
建物の見た目は非常に重要です。見た目の第一印象で、その物件を借りるかどうするかほぼ決まるぐらい重要です。物件の塗装により時期は変わりますが、築15年から20年になると外観が古くなってきます。見た目もありますが建物メンテナンスという点からも外壁の塗装を行い、第一印象を良くしましょう。その際、注意したいのが「塗る色」です。なんでこんな色を塗ったのかという物件を時々見かけます。センスに自信がない場合には、費用がかかってもデザナーに相談して色を決めましょう。
また、スチール製のサビが出た古い郵便受けがある場合は、ステンレス製の新しい郵便受けに交換しましょう。
物件名の変更は一番簡単で費用のかからない空室対策です。「コーポ○○○」とか「○○ハイツ」や「孫の名前が付いた物件」がありますが、今や古い名前です。入居者は手紙やハガキ、各種書類に自分の住所を書く時、このような古い名前を書くのを嫌がります。古めかしい物件名の場合には、語感の良いプラスイメージの洒落た名前に変えてみましょう。
・女性の一人ぐらしも安心
・録画機能・外が確認できる
・カラーで防犯も安心
・付いていると手間が省ける
・なければ最悪自分で付ける
・ひと目でわかる
・新しいエアコンですね
・照明付いているんですね。
・LEDですか?いいですね。
・電気代がやすくて、交換しなくていい。
・何でもできる(お化粧、メイク落とし、ヒゲ剃り、歯磨き、身だしなみ)
・掃除がしやすい
・ファミリー世帯には必須
・追い炊きないなら、違う物件で・・・
・何でもできる(お化粧、メイク落とし、ヒゲ剃り、歯磨き、身だしなみ)
・掃除がしやすい
・女性の一人ぐらしも安心
・録画機能・外が確認できる
・カラーで防犯も安心
・付いていると手間が省ける
・なければ最悪自分で付ける
・論外(そもそも案内にならない)
・良い洗濯機を外に置きたくない
・お風呂と一緒だと足が濡れますよね
・どうやって掃除するの
・前の入居者の生活の臭いがしそう
・こんなに大きいエアコンあるんですか
・電気代が余計にかかりませんか?
・論外(そもそも案内にならない)]
・こんなに大きいエアコンあるんですか
・電気代が余計にかかりませんか?]
・前の入居者の生活の臭いがしそう
・古そう、和室は好みじゃない
・和式の水洗トイレ → 洋式水洗トイレ
・古いエアコン → 新しいエアコン(入居者は年式をチェックしてます)
・和室 → 洋室(フローリング)
・風呂が黄ばんでいる → 新しいユニットバスに交換
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・不動の人気設備ランキング第1位
・料金は家主負担で入居者無料が一般的
・干したまま出かけられる(女性)
・一人暮らしでも便利!翌朝には乾いている!
・単身者のアマゾン世代が急増中
・あるだけで便利
・女性の防犯に。単身者にも人気
・費用対効果か高い
・不動の人気設備ランキング第1位
・料金は家主負担で入居者無料が一般的
・居間だけでなく他の部屋も快適
・入居する時、用意しなくてもいいので助かります(手間もお金も)
・干したまま出かけられる(女性)
・一人暮らしでも便利!翌朝には乾いている!
・何でもできる(お化粧、メイク落とし、ヒゲ剃り、歯磨き、身だしなみ)
・掃除がしやすい
・単身者のアマゾン世代が急増中
・あるだけで便利
・女性の防犯に。単身者にも人気。
・費用対効果か高い
上記の設備は入居者から喜ばれ入居促進につながる設備です。
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新築物件も10年も経つと新築物件の設備、仕様と比べ色々な点で劣ってきます。
ソフトコンテンツとは他の物件との差別化を建物設備のハード面だけでなく、入居者に楽しいライフスタイルを提供し差別化を図っていくものです。代表的なものを紹介します。
ペット不可であった賃貸アパートをペット可にして募集する場合です。不動産経済研究所の調査報告によれば、1989年、首都圏の分譲マンションで「ペット可」になっていたのは1%でした。それが2007年には87%になりました。このように入居者のペット飼育に関するニーズは年々高まっています。それに対してペット可物件の供給は少ないため空室対策としては効果があります。沼田市においてもペットを飼いたいニーズに対して、ペット可物件は少ないのが現状です。
ただし、ペット不可だった物件を途中からペット可にして募集する場合は、次の点に注意が必要です。
1.既存の入居者とトラブルにならないように、ペット可にすることについて事前に意向調査をし、トラブルにならないことを確認する。トラブルになりそうな場合はペット可にするのは取り止める。
2.ペットを飼う場合、ペットを飼わない場合で賃料に差をつける。
3.犬、ネコなど、何を何匹まで飼えるのか最初に決めておく。
4.ハウスクリーニング代を契約時にもらう。
5.退去時の原状回復条件を特約で明確に取り決めておく。
古くなった賃貸アパートの空室対策ではありませんが、新築する段階でリビングや台所、浴室、ラウンジを各入居者が共有して生活できるように計画し、各入居者の個室がプライベート空間とする居住スタイルです。シェアハウスによっては事業者がパティーなどの催しを開催し、入居者同士のコミュニケーションを図っています。都市部を中心に最近増えている賃貸アパートの形態(貸し方)です。
家庭菜園が出来る畑を1区画いくらで貸し出すもので、鍬や耕耘機、肥料等も無料で貸し出しているところもあります。また、時期には栽培講習会を開催しているところもあります。これも野菜作りをしたいという入居者のニーズに応える差別化した貸し方のひとつです。
最近、シェアハウスとともに増えているのが、同じ趣味や価値観を共有する人達を集めた賃貸アパート、「コンセプトアパートメント」です。
例えば、車やバイクが好きな人を集めた「ガレージハウス」、「バイカーズ・マンション」、音楽が好きな人のための「防音設備が整ったアパートメント」、海辺に近い場合にはサーファーのための「サーファーズ・アパートメント」などがあります。趣味や価値観を共有する入居者だけを集めた新しい貸し方です。
賃貸アパートの企画をする時、新築の場合、リニューアルの場合いずれの場合も2つの考え方があります。
➀の場合、最大公約数的なものは安定感があり、とりあえず失敗しないというメリットがあります。反面、どこにでもあり目新しさや希少性がないという特徴があります。
②は思い切りがよい分、リスクがあります。しかし、他にないユニークなものは、それを支持する人には熱狂的に受け入れられます。
ごく当たり前の物件ではなく「うちはここが売りなんだ」という他の物件との差別化を図り、集客する考え方が「オンリーワン戦略」です。差別化をするのは「間取り」、「外観」、「設備・仕様」、「内装の色」、「募集条件」等何でもよいのです。
・居間が広い
・バルコニーが広い
・南側にバスルームがある
・外観の色が良い
・床暖房付き
・屋根付き駐車場
・内装の色を床、壁、天井すべて白一色にする
・ペット可
・家庭菜園付き
以上は一例です。そのほか「他と違う、うちの売りはこれだ」というものを持っていることも空室対策になるのではないでしょうか。
せっかく入居希望者を物件案内しても、ゴミ置き場に粗大ゴミや生ゴミが散乱していたり、郵便受けにチラシが散乱していたり、室内がよごれていたりすると印象が悪くなかなか決まりません。下記の点に注意し、定期的な巡回、清掃を実施し物件を常にきれいに保ちましょう。
1.月に1~2回巡回、清掃を行う。
2.敷地内のゴミ拾い、除草を行う。
3.共用部分の掃き掃除、拭き掃除、クモの巣清掃を行う。
4.ゴミ出し場所の清掃を行う。
5.郵便受けの清掃を行う。
6.植栽がある場合は植栽の管理を行う。
7.長期空室の物件はキッチン、トイレ、風呂等の排水管に水を流し、トラップに水をため臭気が上がってこないようにする。
入居者が退去すると
➀次の入居者が決まるまでの空室期間の発生
②リフォーム費用の発生
③家賃が下落するリスクの発生
④客付けしてくれた仲介業者に広告料等のバックフィーの発生
する場合があります。「入居者が長く住み続けてくれること」は、これらのリスクが無くなり(少なくなり)ます。
⑤長く入居してもらうと下記の稼働率表の通り「稼働率」が上がり経営が安定します。
アパート経営的には「長く入居してもらうこと」は「空室期間を短くすること」と同様に大変重要です。
例えば、入居者が退去後、2ケ月で次の入居者が決まった場合、
(入居期間2年(24ケ月)の場合)
稼働率 92.3%
(入居期間6年(72ケ月)の場合)
稼働率 97.3%
入居者が解約し退去する理由には、結婚や転勤等やむを得ない理由の場合があります。一方、入居中になんらかの不満があって退去する場合があります。賃貸経営者としては、なんらかの不満があって退去しないようにしなければなりません。
何らかの不満があって退去するのを発生させないためには、次のことが重要です。
退去する時、入居者に退去理由が転勤等のやむおえない理由か、それ以外の何らかの理由なのか確認すると今後の改善の参考になります。質問項目としては下記のような項目があります。
(1) 入居理由
なぜこの物件を選んだのか。
(2) 住み心地
物件の力を確認し、問題があれば今後の対策を検討する。
(3) 共用部の清潔度
問題があれば今後の対策を検討する。
(4) 建物のメンテナンス
問題があれば今後の対策を検討する。
(5) 家主または不動産会社の対応
問題があれば今後の対策を検討する。
(6) この部屋を友人に薦めるか
薦めない場合は何故か、理由と対策を検討する。
(7) 退去の中止(取りやめ)
どういうサービスがあれば退去を思いとどまるか。
入居中、入居者から建物設備の不具合や、近隣に関するクレームが入ることがあります。クレ-ムが入ったらその解決を最優先課題として対応します。入居者は不具合等あることですでに不満があります。そして、その対応が遅いとそのことについても不満が溜まります。そして、そうした対応が退去理由になる場合があります。
入居者の満足度を高め、退去するのを思いとどまるようなサービスを提供し退去を抑止し長く住んでもらえる場合があります。
例えば、
(1)エアコンの定期クリーニング
(2)古いエアコンの交換工事
↓
(3)追い炊き給湯設備への交換工事 等。
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目 次
3.原状回復費用の賃借人が負担する範囲と経過年数(入居年数)の考慮はどうするのか
4.原状回復費用を賃借人が負担する際、「経過年数を考慮しない」とはどういうことか
賃借人は賃借物を善良な管理者としての注意を払って使用する義務を負っています(民法400条)。建物の賃借の場合には「建物の賃借人として社会通念上要求される程度の注意を払って建物を使用しなければなりません。」これを賃借人の善管注意義務といいます。
日頃の通常の清掃や退去時の清掃は賃借人の善管注意義務に含まれます。賃借人が故意にまたは不注意で賃借物に対して、通常の使用をした場合より大きな損耗、損傷等を生じさせた場合、
例えば、
➀通常の掃除を怠ったことによって特別の掃除をしなければ除去できないカビ等の汚損を生じさせた場合。
②飲み物をこぼしたままにする。
③結露を放置したことにより物件にシミ等を発生させた場合。
賃借人は善管注意義務違反によって損害を発生させたことになります。その場合、賃借人が原状回復義務を負い、その修繕費は賃借人が負担することになります。
また、物件や設備が壊れて修繕が必要となった場合、賃貸人は修繕する義務があります。このような場合、賃借人は賃貸人に通知しなければなりません。
④この通知を怠り物件に被害が生じた場合(例えば、水道からの水漏れを賃貸人に知らせなかったたため、階下の部屋まで水漏れが拡大した場合)、損害賠償を求められる場合があります。
間連記事
「原状回復」とは①建物の通常損耗分をもとの状態に回復するのではなく、②賃借人の故意、過失等による劣化の回復を意味するとの判断を示してきました。賃貸借契約の対象となる建物の価値は、時間の経過とともに減少するものであり、賃借人が物件を定められた使用方法に従って、社会通念上通常に使用していれば、賃貸借契約終了時に当初の状態よりも建物の価値が減少していたとしても、そのまま賃貸人に返還すればよい、という考えかたに基づいています。
建物の通常損耗分は、賃貸人としては建物の減価が進行する過程で減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料に含めて支払いを受けて回収してきているので、原状回復の対象となるのは、「賃借人の故意・過失等による劣化分」ということです。
ガイドラインでは裁判所の考え方を取り入れ、建物の損耗等、建物価値の減少を
➀-A
建物・設備の自然的な劣化・損耗等(経年変化)
➀-B
賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)
②
(1)賃借人の故意・過失、善管注意義務違反
(2)その他通常の使用を超えるような使用による損耗等
に区分しています。
そして原状回復とは
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、②の(1)「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反」、(2)「その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。
すなわち
それに対して
また、
参考情報
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
間連記事
賃借人に原状回復義務がある場合、どの範囲まで負担しなければいけないのでしょうか。また、借りている建物や設備は入居中「経年変化」や「通常損耗」により減価しています。これらはどのように考慮されるのでしょうか。
原則1枚単位。毀損部分が複数枚の場合は枚数分。
毀損等が複数箇所の場合は居室全体。
原則㎡単位。毀損等が複数箇所の場合は居室全体。
㎡単位が望ましいが、賃借人が毀損した場所を含む一面分までは張り替え費用を賃借人負担としてもやむをえないとする。
喫煙等により当該居室全体においてクロス等がヤニで変色したり臭いが付着した場合のみ、居室全体のクリーニング又は張り替え費用を賃借人負担とすることが妥当と考えられる。
1枚単位
補修部分、交換相当費用
補修部分、紛失の場合は、シリンダー交換も含む
部位ごと、又は住戸全体
賃借人の故意・過失によって建物が毀損して賃借人が修繕費を負担しなければならない場合であっても、建物に発生する経年変化・通常損耗分は、既に賃借人は賃料として支払っています。明け渡し時に賃借人がこのような分まで負担しなければならないとすると、賃借人は経年変化・通常損耗分を二重に支払うことになってしまいます。そこで賃借人の負担については、建物や設備等の経過年数を考慮し、経過年数が長いほど負担割合を減少させることとするのが適当です。
経過年数による減価割合については、本来は個別に判断すべきですが、ガイドラインは目安として法人税法等による減価償却資産の考え方を採用することとしています。すなわち、減価償却資産ごとに定められた耐用年数で残存価値が1円となる直線を描いて、経過年数により賃借人の負担を決定するのがガイドラインの考え方です。実務的には経過年数ではなく、入居年数で代替します。
このように入居期間中の損耗分(経年変化、通常損耗)は賃貸人が負担します。
ただし、毀損部分により
① 部分補修がされても価値が高まったと評価できないもの
② 消耗品としての性格が強いもの
は「経過年数を考慮せず」= 修繕費を全額賃借人が負担する場所もあります。
間連記事
「原状回復費用の賃借人が負担する範囲と経過年数(入居年数)の考慮はどうするの?」
ガイドラインでは賃借人に原状回復義務がある場合、借主の負担については、建物、設備等の経過年数を考慮し、年数が長いほど負担割合を減少させる考えをとっています。しかし、場所、内容により「経過年数を考慮しない」場合もあります。「経過年数を考慮しない」意味と場所、理由について解説します。
ガイドラインでは賃貸物件の原状回復において「通常損耗等は貸主負担」という考えをとっています。経過年数が短いほど通常損耗分の割合は小さくなり、経過年数が長いほど通常損耗分の割合は大きくなります。したがって、原状回復について借主負担を求める場合、「経過年数を考慮して」借主負担分を計算します。
一方で、次の場所については「経過年数を考慮しない」= 修繕費全額を借主が負担する考え方をとっています。
(場所)
・フローリング
・柱
・鍵(紛失した場合)
・クリーニング(通常の清掃をしていない場合)
(理由)
フローリングについては、
(1) 補修を部分的に行ったとしても将来的には全体的に張り替えるのが一般的です。部分補修がなされたといってもフローリング全体としての価値が高まったとは評価出来ません(つぎはぎの状態になる)。部分補修の費用全額を借主が負担しても、貸主が当該時点におけるフローリングの価値(経年変化や通常損耗による減少を考慮した価値)を超える利益を獲得することにはならないので、「経過年数を考慮する必要はない」。
(2) 形式的に経過年数を考慮すると、部分補修の前後でフローリングの価値は同等なのに、貸主が費用の負担を強いられるのは不合理である。こうした部分については「経過年数を考慮せず」部分補修費用は毀損を発生させた借主負担とするのが妥当である。
ただし、フローリング全体に渡っての毀損によりフローリング全体を張り替えた場合は、「経過年数を考慮する」のが妥当である。
(場所)
・畳
・襖
(理由)
襖紙、障子紙、畳表といったものは、消耗品としての性格が強く、毀損の軽重にかかわらず価値の減少が大きいため減価償却資産の考え方を取り入れることがなじまない。そのため、「経過年数を考慮せず」、張り替え費用を毀損を発生させた借主負担とするのが妥当である。
参考情報
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
間連記事
「原状回復費用を賃借人が負担する際、「経過年数を考慮しない」とはどういうことですか?」
退去時の原状回復をめぐるトラブルの大きな原因に、損耗・損傷が入居時からあったものなのか否か事実関係が判然としないことが挙げられます。入居期間が長期におよぶ場合、入居時の状況や損耗の程度があいまいになり責任の所在がはっきりしなくなります。入居時に入居者、不動産管理会社双方立ち会いのもと、室内の状況、損耗、汚れ等確認して記録に残し、写真を撮っておくことがトラブル防止に有効です。
契約で定められた借主の原状回復義務の範囲が「原状回復のガイドライン」に沿ったものであるか確認する必要があります。国土交通省の賃貸住宅標準契約書では、「建物の経年劣化や賃借人の通常の使用による損耗」は賃借人の原状回復義務の範囲には入らないことを明らかにしています。標準契約書に則った契約を締結するとトラブル防止に有効です。
国土交通省の「原状回復に関するガイドライン」や東京都の「賃貸住宅紛争防止条例」では、契約書に特約を設けることまで禁止していません。契約書に原状回復に関する特約がある場合には、借主に不利な内容になっていないか確認し、借主が負担する範囲、おおよその金額などについて説明を求めましょう。
間連記事
建物賃貸借契約では一般的に賃借人は退去時、物件を「原状に回復して」明け渡さなければならない旨が規定されています。この原状回復義務に基づいて、その範囲や金額をめぐってトラブルがよく発生します。裁判所の考え方および、国土交通省が 出している賃貸住宅の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)の考え方について紹介します。
「原状回復」とは①建物の通常損耗分をもとの状態に回復するのではなく、②賃借人の故意、過失等による劣化の回復を意味するとの判断を示してきました。賃貸借契約の対象となる建物の価値は、時間の経過とともに減少するものであり、賃借人が物件を定められた使用方法に従って、社会通念上通常に使用していれば、賃貸借契約終了時に当初の状態よりも建物の価値が減少していたとしても、そのまま賃貸人に返還すればよい、という考えかたに基づいています。
建物の通常損耗分は、賃貸人としては建物の減価が進行する過程で減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料に含めて支払いを受けて回収してきているので、原状回復の対象となるのは、「賃借人の故意・過失等による劣化分」ということです。
ガイドラインでは裁判所の考え方を取り入れ、建物の損耗等、建物価値の減少を
➀-A
建物・設備の自然的な劣化・損耗等(経年変化)
➀-B
賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)
②
(1)賃借人の故意・過失、善管注意義務違反
(2)その他通常の使用を超えるような使用による損耗等
に区分しています。
そして原状回復とは
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、②の(1)「賃借人の故意・過失、善管注意義務違反」、(2)「その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。
すなわち
賃借人の故意・過失・善管注意義務違反の具体例
(手入れを怠ったもの)
クッションフロアーのしみ、汚れ
台所のスス
生い茂った雑草
(用法違反)
引っ掻きキズ
ガラス、建具の破損
(不注意によるもの)
壁、クロスのキズ
クッションフロアーのキズ、汚れ
フローリングの色落ち
フローリングの焼け焦げ
通常の使用方法を超えるような使用による損耗の具体例
(通常の使用とはいえないもの)
タバコによる黄ばみ、汚れ
壁に穴
それに対して
また、
原状回復についての基本的な考え方は上記のとおりですが、強行規定(例えば、借地借家法や消費者契約法の規定)に反しなければ、契約自由の原則により当事者の合意で借主負担のクリーニング特約等「原状回復に関する賃借人に不利な内容の特約」を設けることが出来ます。
ただし、ガイドラインでは次の用件を満たすことを要求しています。
参考情報
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)
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目 次
挨拶されて嫌な人はいないと思います。最初に近隣への挨拶をしておけば、その後の付き合いもスムーズにいきます。また、今後迷惑をかけてしまった場合にも、ある程度大目に見てくれるかもしれません。一人暮らしの場合、家族の場合、いずれの場合も近隣への挨拶はしておきましょう。
近隣への挨拶は集合住宅の場合は両隣と上下の4世帯、一戸建ての場合は両隣と向かいのお宅とその両隣の5軒が目安です。ただし、その地域の慣習もあるので不動産会社の人に確認しましょう。また、挨拶に行くときは、家族全員で行きましょう。小さい子供がいる場合なら、家族構成を知ってもらい顔を覚えてもらえれば防犯につながります。
引っ越しの当日か、遅くとも2~3日以内にしましょう。
挨拶の際に持っていくものは日用品が無難です。洗剤や石鹸、タオルなど500円~1000円の物で充分です。事前に用意し、心のこもった挨拶をしましょう。
間連記事
ハイツやマンション等の集合住宅では、さまざまなライフスタイルの入居者が生活しています。お互いが気持ちよく生活できるよう集合住宅のルールやマナーを身に付けておきましょう。
➀ 自転車を置きっ放しにしたり、郵便受けに入っていたいらないチラシを捨てたり、ゴミを放置しない。
② 玄関または郵便受けの所定の位置に表札を表示しましょう。
➀ 階段、廊下は他の入居者も通る共用スペースです。私物や子供の遊具や自転車等を放置すると他の入居者の迷惑になるのでやめましょう。また、緊急時には避難経路になるので放置はやめましょう。
➀ 車は指定された駐車区画に駐車しましょう。他の入居者の駐車区画や通路等に駐車すると他の入居者の迷惑になるのでやめましょう。
② クラクション、空ふかし、長時間のアイドリングは他の入居者の迷惑になるのでやめましょう。
③ 駐車場を駐車場以外の目的(駐車場でバーベキューをする等)で使用するのはやめましよう。
➀ 自転車・バイクは指定場所に置く。
② 使用しない自転車・バイクは放置せず撤去する。
集合住宅で最もトラブルが多いのが音のトラブルです。特に生活音は気がつかないうちに、隣人に迷惑をかけている場合があります。特に上下階は響きやすいので気をつけましょう。
➀ ステレオやテレビ時間帯や音量に気をつけて楽しみましょう。特に夜間はボリュームを下げるか、ヘッドフォンを使用するなどして配慮しましょう。
② ピアノ等の楽器の演奏、カラオケは禁止です。
➀ 玄関ドアや建具等は静かにゆっくり閉めましょう。
② 早朝、夜間の洗濯や掃除は控えましょう。
③ 目覚まし時計は鳴りっぱなしにならないよう気をつけましょう。
➀ 飛び跳ねたり、物を落としたときの床の衝撃音は上下階のトラブルの原因になります。特に、小さい子供さんがいる家庭では気をつけましょう。ジュウタン等敷くと遮音効果があります。
➀ 夜間、大声で笑ったり、会話したりすると音が近隣に響きます。注意しましょう。
近隣からの苦情で多いのがゴミの出し方のマナーです。たった一人のマナー違反が集合住宅全体に不快な思いや迷惑をかけてしまいます。一人一人がルールを守ってゴミを出しましょう。
➀収集日、収集時間を厳守する。
②指定のゴミ袋で分別ルールを守って出す。
③粗大ゴミは各市町村の決められた方法で処分する。
間連記事
住まいの空気の質や温度・湿度は、暮らしの快適感を大きく左右します。湿度が高いと不快なだけでなく、結露やカビが生えやすくなります。快適な生活を送れるように、日頃から気をつけたいことを把握しておきましょう。
空気中の水蒸気量は温度が高いほど多く含むことが出来ます。暖房で温められた室内は水蒸気を多く含むことができます。結露は室内と室外の温度差が大きい時に、高い温度側(室内)の空気に含まれる水蒸気が、外気で冷えた窓ガラスや壁面に触れて含みきれなくなった水蒸気が水滴になったものです。
また、建物の断熱性、機密性が高いと冷暖房の効率が良い反面、換気をしないと室内で発生した水蒸気がこもり、結露が発生しやすくなります。
結露はカビの発生源になるだけでなく、建物や家具を傷めます。上記湿気防止対策とともに、換気設備や冷暖房設備を利用して換気を行い、適切な室内環境を維持しましょう。
具体的には、次の点に注意しましょう。
1.サッシや窓ガラスについた水滴はこまめに拭き取りましょう。
2.暖房中は部屋どうしの温度差をあまりつけないように心がけましょう。
3.洗濯物の室内干しは、結露だけでなくカビの原因にもなります。湿度の高い時はなるべく控えましょう。
4.雨天や多湿時等、換気で湿度を調整出来ない時は、エアコンの除湿運転や除湿器を利用して調整しましょう。
5.石油ファンヒーター等の解放型暖房器具は燃焼の際に大量の水蒸気が発生するので、非解放型暖房器具のパネルヒーター、電気カーペット、エアコン等に変更しましょう。
間連記事
1.運転スイッチを「切」にする。
2.ガス栓を閉める。
3.お風呂の給湯栓を開いて、少量の水(1分管に約400cc 太さ約4㎜)を流したままにする。
(1) 不凍栓(水抜き栓)を閉め、給水管内の水の水抜きをする。
不凍栓(水抜き栓)を右に回す
不凍栓を右に回して閉めると、水道管内の水の流れを遮断し、給水管内の水が地中に排水されます。この時、室内の蛇口を開け給水管内に空気を送り込むと、中の水がきれいに抜きされます。
冬期空室の物件については次の凍結防止処置をとってください。
給湯器下にある「給水水抜き栓」、「給湯水抜き栓」を左に回して給湯器内の水抜きをしてください。
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留守中でも宅配された荷物を受け取ることができるように、宅配された荷物を宅配業者が入れるための箱のことです。「宅配ロッカー」ともいいます。
① 宅配業者の配達員が荷物を宅配ボックスに入れ、その都度、手動で任意の暗証番号を設定し番号を知らない人は開けられないようにします。次に、② 解錠番号を書いた配達通知書を配達先の郵便ポストに投函します。その配達通知書には「宅配ボックスに荷物を入れました。解錠番号は****です。」といったことが書かれています。③ 受取人はこれを確認し、ダイヤルを合わせ、宅配ボックスを開け、荷物を受け取ります。受け取りのサインや捺印はボックスの中に押印する機会が入っているものや、レシートが出るものがあります。
① 宅配業者の配達員は液晶パネルの操作や音声案内される手順に従い、宅配ボックスに荷物を入れます。② 荷物の受取人は入居する時に与えられた暗証番号をタッチパネルに入力します(暗証番号方式)。あるいは、専用のカードキーで荷物を取り出します(カード方式)。電気式はシステムで管理されているので、いつ荷物が入れられたのか記録されたり、荷物が入れられるとメールが届くものがあります。
機械式(ダイヤル式)の場合
(1) 宅配業者が解錠番号を書き忘れたまま投函したり
(2) 誤った番号を記載したり
(3) 解錠番号が書かれた配達通知書が抜き取られ、荷物を盗まれる
などのトラブルが起きることがあります。
間連記事
普通借家契約の場合には、通常、契約を更新することができます。契約を更新する場合の手続き、必要な書類、費用について紹介します。
個々の契約により異なります。更新時までに確認し用意しましょう。
普通借家契約(一般の建物賃貸借契約)の場合には、契約を更新することができます。賃貸借契約の更新に際して、借主から貸主に支払われる費用です。 更新後の新賃料の1ケ月の場合が多いようです。更新料はあくまで契約条件なので「更新料なし」の場合もあります。
借主から貸主に支払う「更新料」とは別に、更新事務手続きを行う不動産業者から、更新事務手数料を請求される場合があります。10,000円~賃料1ケ月分の場合が多いです。契約更新する前に業務内容と金額を確認しておきましょう。
当初契約時に加入した家財総合保険に再加入しなければいけない場合が一般的です。再加入の保険料が必要になります。
10,000円~18,000円位
賃貸貸借契約には「賃料改定に関する条項」があるのが一般的です。改定の条件を満たす場合には、賃料が増減する場合があります。
家賃債務保証会社と保証委託契約を締結していて、継続保証料が掛かるプランを選んでいる場合は継続保証料が必要です。
10,000円~ (プランにより金額は異なります)
定期建物賃貸借契約の場合は、契約期間満了に伴い契約は終了します。借主、貸主双方が合意すれば再契約することかできます。
再契約の際の条件(費用)は個々の契約により異なります。条件を確認しましょう。
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目 次
所定の入居申込書に必要事項を記入し、押印します。
(申込者)
➀ 入居予定者全員の住民票
② 公的所得証明
③ 申込者の運転免許証の写し
(連帯保証人)
➀ 印鑑証明
必要事項を記入します。
(申込者)
➀ 申込者の運転免許証の写し
※ 審査の結果、連帯保証人が必要な場合があります。その場合、連帯保証人の印鑑証明が契約時に必要になります。
所定の入居申込書に必要事項を記入、押印します。
(申込者)
➀ 会社概要書または履歴事項全部証明書
② 入居予定者全員の住民票
③ 申込者の運転免許証の写し
(連帯保証人)
➀ 印鑑証明
※ 場合により、連帯保証人の代わりに保証会社の保証を付けていただく場合があります。
その場合は
➀ 履歴事項全部証明書
② 連帯保証人(法人の代表取締役)の運転免許証の写し
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「申込金」(正確には申込証拠金)とは「他に申し込みがあった場合に優先的に入居審査をしてもらう」目的で、不動産会社に契約締結前に支払うお金です。その金額は不動産会社によって異なりますが、家賃の1ケ月以内である場合が多いようです。また、申込金を支払っても必ず契約できる訳ではありません。(入居審査に不合格の場合は、契約出来ません)
「申込金」は不動産会社に一時的に預けるお金で、申し込みを撤回した場合、返還されるべきお金です。申し込みを撤回しても申込金が返還されないトラブルがありますが、不動産会社が「申込金」等の預り金の返還を拒否することは宅地建物取引業法で禁止されています。宅地建物取引業法施行規則-第16条の12第2号
それに対して、「手付金」は売買契約締結の際、買主から売主に対して交付される金銭で売買代金の5~10%位の場合が多いようです。「手付金」について当事者間で明確な取り決めがない場合は、相手方に債務不履行がなくても相手方が履行に着手するまでならば契約を解除できる(解除権留保の手段としての)「解約手付」になります。
申込金を不動産会社に預ける場合は、あくまで一時的に預けるだけの金銭であることを確認し、領収書ではなく必ず「預かり証」を受け取りましょう。
申込金でなく「手付金」、「内金」、「予約金」などの名目で金銭の支払いを要求する不動産会社がありますが、契約締結前に「申し込み順位の確保」の目的で預けたお金は、名目のを問わず「預り金」とみなされます。不動産会社から「手付金だから返せない」という説明で返還を拒否されトラブルになった場合は、不動産業者が加盟する業界団体または自治体の窓口に相談しましょう。
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「入居申し込みの際、申込金を要求された場合どこに注意すればいいの?」
重要事項説明とは、契約する前に宅地建物取引士が「物件の内容や賃貸条件、契約条件等」について借主に説明が宅地建物取引業法で義務付けられているものです。
賃貸借契約を結ぶと、以後はトラブルが起きた時は契約書にもとづいて行われます。入居者に不利な内容はないか、勘違いしていることは無いか確認しましょう。
下記の事項をチェックしましょう。
よくある特約としては以下のようなものがあります。
(1) 退去時のルームクリーニング代を借主が負担する。
このことについて国土交通省の「原状回復のガイドライン」では契約書の中で貸主、借主が合意していることが求められています。
(2) 短期解約の場合の違約金
フリーレント等により入居月の家賃が免除された場合、短期(6ケ月~1年)解約した場合に、退去時に免除した家賃分を違約金として貸主に支払う特約が付く場合があります。
「ペット禁止」、「ピアノ等楽器の演奏禁止」、「石油ストーブ使用禁止」、「事務所利用禁止」等が禁止事項になっている場合があります。守らない場合、退去させられることもあります。
大家さんに直接支払う場合と管理する不動産会社に支払う場合があります。また、「振込」の場合と「自動振替」の場合があります。
設備の故障等があった時の連絡先が紹介してくれた不動産会社ではなく、別の管理会社だったり、大家さんだったりする場合があります。
更新料がある物件と無い物件があります。ある場合は1ケ月が多いです。また、更新料とは別に更新事務手数料を不動産会社に支払わなければいけない場合もあります。
退去する場合は1ケ月前というのが殆どです。退去連絡が遅れた場合は、連絡のあった日から1ケ月分の家賃を支払って解約になります。
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書面でも口頭でも可です。通常は不動産業者が契約書を作成・交付します。
2000年3月1日より前の契約 ⇒ 20年
2000年3月1日以降の契約 ⇒ 無制限
期間の定めのない契約とみなされる。
原則として更新を拒絶する「正当事由」がない限り更新される。
事情が変われば貸主と借主は賃料の額の増額や減額を請求できる。ただし、一定の期間、賃料を増額しない旨の特約がある場合はその定めに従う。
中途解約に関する特約がある場合はその定めに従う。一般的には1ケ月前までに「解約申し入れ」をする特約が多い。
2000年3月1日より前の居住用建物賃貸借契約 ⇒ 借主と物件が変わらない場合は、切り替えできない。
事業用建物賃貸借契約 ⇒ 切り替えできる。
➀ 書面(公正証書等)による契約に限る。
②「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別に、あらかじめ書面を交付して説明しなければならない。
貸し主がこの説明を怠った場合、その契約は定期借家としての効力はなくなり、普通借家契約になる。
無制限
1年未満の契約も有効
期間満了により終了し、更新はない(ただし、「再契約型」の場合は再契約可能)。
契約終了後、引き続き部屋を使用する場合には「再契約」を行う必要があります。この「再契約」を行うためのルールの設け方により、次の3つに分類されます。
【非再契約型】
当初の契約期間満了で契約が終了し、「再契約を一切行わない」ことを前提とする契約方式。
【再契約未定型】
契約期間満了後、再契約を行うかどうか定めず、その時に貸主と借主が「協議」して決める方式。
【再契約型】
契約期間満了後、原則的には「契約違反や家賃滞納が無い限り再契約する」ことを大前提とした契約方式。
賃料増減額請求権を排除できる(特約の定めに従う)。
➀ 床面積200㎡未満の居住用建物で、転勤・療養・親族の介護その他やむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難となった借主からは特約がなくても法律により1ケ月の猶予期間をおいて中途解約できる。
② ➀以外の場合は中途解約に関する特約があればその定めに従う。
契約期間が1年以上の場合、貸主は期間満了の1年前から6ケ月前までの間に、借主に契約が終了することを通知しなければいけません。
貸主から契約終了通知がない場合、借主は貸主から同通知があった日から6ケ月を経過した日まで、契約期間中と同一条件で賃借することができます。
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賃貸借契約であっても、強行規定(例えば、借地借家法や消費者契約法の規定)に反しなければ、契約自由の原則により当事者の合意で特約を設けることができます。
最高裁の判例では「建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませて、その支払を受けることにより行われている。建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗及び経年変化について原状回復義務を負わせるのは賃借人に予期しない特別の負担を課すことになる」。
そのため「経年変化や通常損耗分の修繕義務を賃借人に負担させる特約」について、➀賃借人が負担することになる通常損耗及び、経年変化の範囲を明確に理解していること。そして、②そのことを合意したことが認められるなど、通常損耗補修特約が明確に合意されていることが必要であるとの判断を示しています。
また、消費者契約法では第9条1項1号で「当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額の予定」等について、「平均的損害の額を超えるもの」はその超える部分は無効であること、第10条で「民法、商法」等による場合に比べ「消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、消費者の利益を一方的に害するものは無効とする」と規定されています。
そのため、ガイドラインは借地借家法、最高裁の判例、消費者契約法等の趣旨等をふまえ、借主負担のクリーニング特約等「原状回復に関する賃借人に不利な内容の特約」については、次の用件を満たすことを要求しています。
➀ 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること。
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること。
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること。
以上3つの要件を満たしている特約であれば有効です。
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