賃貸アパート3つの空室率とその計算方法
安定した賃貸経営を行ううえで、空室率を低くし入居率を高めていくことが重要です。空室対策を考える際、空室率がどれくらいなのか数値で把握することが必要です。そして、空室率はとらえ方により、➀時点ベースの空室率、②稼働ベースの空室率、③想定賃料ベースの空室率があります。それぞれの空室率の計算方法について説明します。
時点ベースの空室率
「時点ベース」で計算する空室率で、その「瞬間」の空室率です。たとえば、そのエリアに1,000戸の物件があり、そのうち50戸が空いていた場合、空室率は5%になります。
時点ベースの空室率 = 空室戸数/全戸数
= 50戸/1,000戸
= 5%
稼働ベースの空室率
「稼働ベース」で計算する空室率で、家賃が入っているということが稼働しているということになり、空室で家賃が入らなかった日数の割合で表します。
稼動ベースの空室率 = (解約戸数×平均空室日数)/(全戸数×365日)
例えば、10戸のアパートで1年間に2戸解約し、解約ごとに91日間の空室期間がある場合、空室率は5%になります。
= (2戸×91日)/(10戸×365日)
= 5%
この式の分子の➀「解約戸数」が少ないほど、また②解約ごとの「平均空室期間」短いほど稼働率は上がります。
例① 入居期間 2年(24ケ月) 空室期間 6ケ月
稼働率 80%
例② 入居期間 2年(24ケ月) 空室期間 2ケ月
稼働率 92.3%
例③ 入居期間 6年(72ケ月) 空室期間 6ケ月
稼働率 92.3%
「長く入居してもらうこと」は「空室期間を短くすること」と同様に重要です。
想定賃料ベースの空室率
「想定賃料ベース」で計算する空室率で、想定した家賃収入と実際に入金した家賃収入との差額の想定した家賃収入に対する割合で表します。この差額の中には「空室による家賃収入のロス」、「家賃を下げて決まった分の差額」、「家賃滞納による未回収分」が含まれます。
例えば、100万円の想定賃料×12ケ月で年間1,200万円入るべきところが、1,140万円しか入らなかった場合、空室率は5%になります。
想定賃料ベースの空室率 = (想定した家賃収入-実際に入金した家賃収入)/想定した家賃収入
= (1,200万円-1,140万円)/1,200万円
=5%
空室率の目安は?
賃貸物件の空室率は、①日本全体の人口減少傾向、②少子高齢化の進展に伴う賃貸物件の主たる需要層の減少、③新築物件の過剰供給等により上昇傾向です。全国の賃貸住宅の空室率は、国土交通省の 「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果(住宅及び世帯に関する基本集計)の概要」によれば18.5%です。これはあくまで平均値であり、地域、建物構造、物件の設備仕様、募集方法により異なります。