賃貸アパート空室対策の進め方
賃貸アパートも築10年を過ぎ、特に20年を過ぎてくると➀建物設備、仕様の陳腐化、②賃貸市場、入居者ニーズの変化等により空室になる場合が増えてきます。空室は色々な要因が重なって発生します。長期空室を出さないための空室対策を9ケ条にまとめました。
賃料の適正化
(1) 賃料は相場で決まる
① 物件の賃料は周辺環境等の立地条件、物件の構造・間取り、専有面積、設備・仕様、セキュリティー、建物の外観、道路の接道状況、駐車場の有無等色々な要素により決まります。
②そして、数年前までは入居者は平均4社の不動産会社を訪問し、7件の物件を見学し、1ケ月かけて決めていました。
③しかし、最近は(株)リクルート住まいカンパニーが2017年9月15日に発表した「2016年度賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査(首都圏版)」によれば、部屋探しの際「不動産会社への訪問数は平均1.6店舗」、部屋探しの際見学した物件数は平均3.1件」、「部屋探し開始から契約するまでの期間は平均18.7日」と以前に比べるといずれも短くなっています。
④インターネットの普及により、入居者は物件情報を家にいながら簡単に集めることができるようになりました。来店する前に多くの物件を比較検討し希望条件に合った割安感のある物件に絞って来店します。従って、家賃は相場で決まります。近隣の同等の物件より家賃が高いとなかなか決まりません。
⑤ただし、例外があります。法人契約です。法人契約の場合、「予算○万円以内ならいい」と予算内であれば少々家賃が割高でも決まる場合もあります。ただ、個人契約がほとんどなので適正な家賃設定をしなければいけません。
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(2) 家賃を下げても早く決めたうが得か?
空室になった時、家賃を下げたほうがよいのか、下げないで頑張ったほうがよいのか迷うことがあります。稼働率から分析してみましょう。
①家賃6万円 空室率(稼動率ベース)10% 解約率25% 戸数10戸の場合
平均空室日数
=(365日×空室率)÷解約率
=(365日×10%)÷25%
=146日(約5ケ月)/戸
②家賃6万円 空室率(稼動率ベース)2% 解約率25% 戸数10戸の場合
平均空室日数
=(365日×空室率)÷解約率
=(365日×2%)÷25%
=29.2日(約1ケ月)/戸
平均居住月数
=(100%/解約率×12ケ月)-平均空室月数
=(100%÷25%×12ケ月)-1ケ月
=47ケ月
③空室率10%と2%の物件の空室期間の差は
4ケ月(5ケ月-1ケ月)
家賃収入の差は
6万円×4ケ月=24万円
月当たりの差は
24万円÷47ケ月=5,106円/月
家賃を5,000円下げ55,000円にしても、空室期間が1ケ月になるのであれば年間の収入は変わらないことになります。(厳密には家賃が下がり4ケ月間の収入も減るので4,706円の値下げをした場合)
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(3) まとめ
① 本来は家賃を下げずに物件に付加価値を付けるなり、陳腐化している部分があればそれを改善し「物件の力」を高め、家賃を下げずに空室を埋めるのが理想です。
② しかし、費用もかかるので難しい場合は、下げられる下げ幅を計算し適正な家賃設定にして早期に空室を埋めることが結果として良い賃貸経営になります。
賃料以外の募集条件の見直し
賃料以外の募集条件を見直すことも空室対策になります。変更内容によっては一時的に減収になりますが、賃料を下げることは避けられます。
具体的変更(見直し)内容としては、以下のようなものがあります。
➀ フリーレント
② 礼金・敷金の割引
③ ペット可
④ キャンペーン割引
⑤ 家具・家電付き
⑥ 入居者限定(女性限定、学生限定など)の解除
➀ フリーレント
フリーレントとは入居後の一定期間(1~2ケ月)賃料を無料にする方法です。事務所、店舗の募集では一般的に行われていますが、住居系でも普通に行われるようになってきています。貸主側からみると賃料を下げずに入居促進を図ることができます。
② 礼金・敷金の割引
礼金、敷金を少なく又は、ゼロにし、契約時の初期費用を少なくして借りやすくする方法です。沼田市では、礼金は一部の新築の場合を除き、ほとんどの物件がゼロで募集しています。敷金も減少傾向です。また、物件によっては仲介手数料ゼロ(貸主が仲介手数料を支払う)の物件もあります。賃料以外の契約時初期費用を下げることも入居促進を図るのに有効な方法です。
③ ペット可
「ペット飼育禁止」を「ペット飼育可」にして募集する方法です。ペツト可物件が需要に対して供給が少ないので入居促進を図るのに有効な方法です。ただし、既存の入居者とトラブルになる可能性があります。
④ キャンペーン割引
半年から1年又は、翌年3月まで等、期間を限定して賃料を割り引く方法です。キャンペーン期間中は減収になりますが、募集家賃が下がるので入居促進を図りやすく、キャンペーン期間が過ぎれば家賃は元に戻ります。
⑤ 家具・家電付き
ベット、テーブル、机、冷蔵庫等誰でも使う家具、家電を初めから設置して入居者にそのまま使ってもらう募集方法です。入居者にとっては購入費用が浮くだけでなく、部屋を案内した時に「住んだ時のイメージがしやすい」という効果があります。ただし、好みでない家具、家電が付いていた場合、逆効果になる場合もあるので家具、家電無しでも可としたほうがよいでしょう。
⑥ 入居者限定(女性限定、学生限定など)の解除
「女性限定」、「学生限定」などの限定を解除し募集の間口を広げて募集する方法です。間口を広げることにより決まりやすくなります。ただし、綺麗に使ってくれる(女性限定の場合)、連帯保証人がしっかりしている(学生限定の場合)等の限定したことによるメリットはなくなります。
その他
沼田市のような駐車場が必要なエリアでは駐車場は必ず必要台数確保すべきです。ワンルームの場合、世帯1台。1LDK、2LDKの場合は世帯2台。敷地内に確保できない場合は近隣の月極駐車場をオーナーが借りて確保すべきです。
(2).まとめ
どの募集条件の見直しが有効なのかは賃貸市場、物件の状況により異なります。その地域の賃貸市場の状況を一番把握している入居募集を依頼している不動産会社に相談し実施することが重要です。
間取り
(1) 間取りの見直し
入居者が部屋探しする際に最も重視するのが間取りです。「間取り」の中身は2DK、3DKというタイプの違いだけでなく、「部屋数」、「専有面積」、「使い勝手」、「各部屋の大きさのバランス」、「収納力」等さまざまな要素が含まれます。かつて2DK、3DKが代表的な間取りでした。しかし。時代とともに入居者の生活スタイルが変わり入居者が好む間取りも変わってきています。空室対策を行ううえでも入居者の好む間取りに変更することは非常に重要です。入居者から間取りについて要望の高い項目としては次のとおりです。
➀ 大型液晶テレビ+AV機器+ソファー+パソコンコーナーなどが収まる広いリビング
② 収納力
(2) おすすめ間取り変更例
2DK変更例
代表的な2DKは「6畳+6畳+DK6畳+収納1.5畳」でバス・トイレ・廊下を除いた面積は19.5畳です。この間取りの中で
➀DK6畳はダイニングテーブルを置いても狭くて単なる配膳テーブルになってしまいます。
②6畳の部屋では「大型液晶テレビ+AV機器+ソファー+パソコンコーナー」を置くと狭くなってしまいます。
③ベットルームはダブルベットが置ければ広さ的には大丈夫です。そこで、次のように間取りを変更します。
(代表的な2DK)
和室6畳+和室6畳+DK6畳+収納1.5畳=合計19.5畳
⇩
(入居者に好まれる間取り)
洋室4.5畳+LDK12畳+収納3畳=合計19.5畳
3DK変更例
(代表的な3DK)
和室4.5畳+和室6畳+和室6畳+DK6畳+収納2畳=合計24畳
⇩
(入居者に好まれる間取り)
洋室4.5畳+洋室6畳+LDK12畳+収納2畳=合計24畳
2LDK変更例
2LDKタイプを希望する入居者は新婚、DINKS(共働き、子供なし、)、同棲等の「2人入居」が中心で、子供がいても乳幼児や就学前であることが多い。そのため、2部屋目を小さくしDEN(書斎・小さい私室)にし、その分LDKを広くしたほうが入居者に喜ばれます。
(よくある2LDK)
洋室6畳+洋室6畳+LDK10畳=合計22畳(収納を除く)
⇩
(入居者に好まれる間取り)
洋室6畳+DEN(書斎・小さい私室)3畳+LDK13畳=合計22畳(収納を除く)
(3) まとめ
入居者の好む間取りに変更することは空室対策をする上で大変重要です。ただし、費用もかかります。どこまで間取り変更するかは募集管理を依頼している不動産会社とよく相談し行ってください。
外観・外構
(1) 見た目の第一印象で借りるか判断される
築23年外壁塗装後
建物の見た目は非常に重要です。見た目の第一印象で、その物件を借りるかどうするかほぼ決まるぐらい重要です。物件の塗装により時期は変わりますが、築15年から20年になると外観が古くなってきます。見た目もありますが建物メンテナンスという点からも外壁の塗装を行い、第一印象を良くしましょう。その際、注意したいのが「塗る色」です。なんでこんな色を塗ったのかという物件を時々見かけます。センスに自信がない場合には、費用がかかってもデザナーに相談して色を決めましょう。
また、スチール製のサビが出た古い郵便受けがある場合は、ステンレス製の新しい郵便受けに交換しましょう。
(2) 物件名も重要
物件名の変更は一番簡単で費用のかからない空室対策です。「コーポ○○○」とか「○○ハイツ」や「孫の名前が付いた物件」がありますが、今や古い名前です。入居者は手紙やハガキ、各種書類に自分の住所を書く時、このような古い名前を書くのを嫌がります。古めかしい物件名の場合には、語感の良いプラスイメージの洒落た名前に変えてみましょう。
設備・仕様
(1) 付いていて当たり前の設備・仕様
(単身者向け物件)
➀ テレビドアフォン
・女性の一人ぐらしも安心
・録画機能・外が確認できる
・カラーで防犯も安心
② 温水洗浄便座
・付いていると手間が省ける
・なければ最悪自分で付ける
③ エアコン(新品または新しめ)
・ひと目でわかる
・新しいエアコンですね
④ 居室照明(LED)
・照明付いているんですね。
・LEDですか?いいですね。
・電気代がやすくて、交換しなくていい。
⑤ 洗髪洗面化粧台
・何でもできる(お化粧、メイク落とし、ヒゲ剃り、歯磨き、身だしなみ)
・掃除がしやすい
(ファミリー向け物件)
➀ 追い炊き機能
・ファミリー世帯には必須
・追い炊きないなら、違う物件で・・・
② 洗髪洗面化粧台
・何でもできる(お化粧、メイク落とし、ヒゲ剃り、歯磨き、身だしなみ)
・掃除がしやすい
③ テレビドアフォン
・女性の一人ぐらしも安心
・録画機能・外が確認できる
・カラーで防犯も安心
④ 温水洗浄便座
・付いていると手間が省ける
・なければ最悪自分で付ける
上記の設備は付いてて当たり前の設備です。付いていない物件は入居者の部屋選びの対象から外されます。付いていない設備がある場合は付けましょう。
(2) 入居者に嫌われる設備・仕様
(単身者向け物件)
➀ トイレが和式(水洗)
・論外(そもそも案内にならない)
② 洗濯機置き場が室内にない(沼田では殆どありませんが)
・良い洗濯機を外に置きたくない
③ 風呂が3点ユニット
・お風呂と一緒だと足が濡れますよね
・どうやって掃除するの
④ 風呂が黄ばんでいる
・前の入居者の生活の臭いがしそう
⑤ エアコンが明らかに古い
・こんなに大きいエアコンあるんですか
・電気代が余計にかかりませんか?
(ファミリー向け物件)
➀ トイレが和式(水洗)
・論外(そもそも案内にならない)]
② エアコンが明らかに古い
・こんなに大きいエアコンあるんですか
・電気代が余計にかかりませんか?]
③ 風呂が黄ばんでいる
・前の入居者の生活の臭いがしそう
④ 和室がある
・古そう、和室は好みじゃない
上記の設備は入居者から嫌われる設備です。該当する項目のある物件は入居者から部屋選びの対象から外されます。該当する事項がある場合は改善しましょう。
・和式の水洗トイレ → 洋式水洗トイレ
・古いエアコン → 新しいエアコン(入居者は年式をチェックしてます)
・和室 → 洋室(フローリング)
・風呂が黄ばんでいる → 新しいユニットバスに交換
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(3) 入居者に喜ばれる設備・仕様
(単身者向け物件)
➀ インターネット無料
・不動の人気設備ランキング第1位
・料金は家主負担で入居者無料が一般的
② 浴室乾燥機
・干したまま出かけられる(女性)
・一人暮らしでも便利!翌朝には乾いている!
③ 宅配ボックス
・単身者のアマゾン世代が急増中
④ ホスクリーン(室内物干し)
・あるだけで便利
・女性の防犯に。単身者にも人気
・費用対効果か高い
(ファミリー向け物件)
➀ インターネット無料
・不動の人気設備ランキング第1位
・料金は家主負担で入居者無料が一般的
② 2台目エアコン
・居間だけでなく他の部屋も快適
③ 居室照明
・入居する時、用意しなくてもいいので助かります(手間もお金も)
④ 浴室乾燥機
・干したまま出かけられる(女性)
・一人暮らしでも便利!翌朝には乾いている!
⑤ 洗髪洗面化粧台
・何でもできる(お化粧、メイク落とし、ヒゲ剃り、歯磨き、身だしなみ)
・掃除がしやすい
⑥ 宅配ボックス
・単身者のアマゾン世代が急増中
⑦ ホスクリーン(室内物干し)
・あるだけで便利
・女性の防犯に。単身者にも人気。
・費用対効果か高い
上記の設備は入居者から喜ばれ入居促進につながる設備です。
➀インターネット無料は新築物件で増えてきました。単身者向け物件、ファミリー向け物件とも入居者に喜ばれます。
②2台目エアコンはファミリータイプの物件では付いていると喜ばれます。
③宅配ボックスは共働き世帯が増える中でニーズの高まっている設備です。2ボックス~6ボックスの独立型の宅配ボックスが市販されています。
④ホスクリーン(室内物干し)は単身主向け物件、ファミリー向け物件とも、日中仕事で留守の世帯が多いので喜ばれます。費用もあまりかからず設置できます。
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(4) まとめ
新築物件も10年も経つと新築物件の設備、仕様と比べ色々な点で劣ってきます。
① 付いてて当たり前の設備・仕様で付いていない設備、仕様がある場合は早急に付けましょう。
② 入居者に嫌われる設備・仕様がある場合には早急に改善しましょう。水周りの清潔感に注意しましょう。
③ 入居者に喜ばれる設備・仕様については個々の物件の状況により、出来る設備、仕様から導入しましょう。できるだけ現在の新築物件の設備、仕様に近づけ、「物件の力」を付けて、値下げをしないで空室対策を進めましょう。
ソフトコンテンツ
ソフトコンテンツとは他の物件との差別化を建物設備のハード面だけでなく、入居者に楽しいライフスタイルを提供し差別化を図っていくものです。代表的なものを紹介します。
(1) ペット可
ペット不可であった賃貸アパートをペット可にして募集する場合です。不動産経済研究所の調査報告によれば、1989年、首都圏の分譲マンションで「ペット可」になっていたのは1%でした。それが2007年には87%になりました。このように入居者のペット飼育に関するニーズは年々高まっています。それに対してペット可物件の供給は少ないため空室対策としては効果があります。沼田市においてもペットを飼いたいニーズに対して、ペット可物件は少ないのが現状です。
ただし、ペット不可だった物件を途中からペット可にして募集する場合は、次の点に注意が必要です。
1.既存の入居者とトラブルにならないように、ペット可にすることについて事前に意向調査をし、トラブルにならないことを確認する。トラブルになりそうな場合はペット可にするのは取り止める。
2.ペットを飼う場合、ペットを飼わない場合で賃料に差をつける。
3.犬、ネコなど、何を何匹まで飼えるのか最初に決めておく。
4.ハウスクリーニング代を契約時にもらう。
5.退去時の原状回復条件を特約で明確に取り決めておく。
(2) シェアハウス
古くなった賃貸アパートの空室対策ではありませんが、新築する段階でリビングや台所、浴室、ラウンジを各入居者が共有して生活できるように計画し、各入居者の個室がプライベート空間とする居住スタイルです。シェアハウスによっては事業者がパティーなどの催しを開催し、入居者同士のコミュニケーションを図っています。都市部を中心に最近増えている賃貸アパートの形態(貸し方)です。
(3) 家庭菜園付き
家庭菜園が出来る畑を1区画いくらで貸し出すもので、鍬や耕耘機、肥料等も無料で貸し出しているところもあります。また、時期には栽培講習会を開催しているところもあります。これも野菜作りをしたいという入居者のニーズに応える差別化した貸し方のひとつです。
(4) コンセプトアパートメント
最近、シェアハウスとともに増えているのが、同じ趣味や価値観を共有する人達を集めた賃貸アパート、「コンセプトアパートメント」です。
例えば、車やバイクが好きな人を集めた「ガレージハウス」、「バイカーズ・マンション」、音楽が好きな人のための「防音設備が整ったアパートメント」、海辺に近い場合にはサーファーのための「サーファーズ・アパートメント」などがあります。趣味や価値観を共有する入居者だけを集めた新しい貸し方です。
オンリーワン(差別化)戦略
(1) オンリーワン(差別化)戦略の考え方
賃貸アパートの企画をする時、新築の場合、リニューアルの場合いずれの場合も2つの考え方があります。
➀最大公約数的な多くの人に受け入れられやすい一般的なものをつくったほうが良いという考え方。
➀の場合、最大公約数的なものは安定感があり、とりあえず失敗しないというメリットがあります。反面、どこにでもあり目新しさや希少性がないという特徴があります。
②「他にないもの」、「ここが全然違う」ものを作ったほうが良いという考え方。
②は思い切りがよい分、リスクがあります。しかし、他にないユニークなものは、それを支持する人には熱狂的に受け入れられます。
ごく当たり前の物件ではなく「うちはここが売りなんだ」という他の物件との差別化を図り、集客する考え方が「オンリーワン戦略」です。差別化をするのは「間取り」、「外観」、「設備・仕様」、「内装の色」、「募集条件」等何でもよいのです。
(2) オンリーワン(差別化)の具体例
間取り
・居間が広い
・バルコニーが広い
・南側にバスルームがある
外観
・外観の色が良い
設備・仕様
・床暖房付き
・屋根付き駐車場
内装の色
・内装の色を床、壁、天井すべて白一色にする
募集条件
・ペット可
・家庭菜園付き
以上は一例です。そのほか「他と違う、うちの売りはこれだ」というものを持っていることも空室対策になるのではないでしょうか。
現場管理(清掃・巡回)
(1) 物件をきれいに保つ
せっかく入居希望者を物件案内しても、ゴミ置き場に粗大ゴミや生ゴミが散乱していたり、郵便受けにチラシが散乱していたり、室内がよごれていたりすると印象が悪くなかなか決まりません。下記の点に注意し、定期的な巡回、清掃を実施し物件を常にきれいに保ちましょう。
定期巡回、清掃の注意点
1.月に1~2回巡回、清掃を行う。
2.敷地内のゴミ拾い、除草を行う。
3.共用部分の掃き掃除、拭き掃除、クモの巣清掃を行う。
4.ゴミ出し場所の清掃を行う。
5.郵便受けの清掃を行う。
6.植栽がある場合は植栽の管理を行う。
7.長期空室の物件はキッチン、トイレ、風呂等の排水管に水を流し、トラップに水をため臭気が上がってこないようにする。
テナントリテンション(解約の抑止)
(1) 長く住んでもらうことがアパート経営の安定につながる
入居者が退去すると
➀次の入居者が決まるまでの空室期間の発生
②リフォーム費用の発生
③家賃が下落するリスクの発生
④客付けしてくれた仲介業者に広告料等のバックフィーの発生
する場合があります。「入居者が長く住み続けてくれること」は、これらのリスクが無くなり(少なくなり)ます。
⑤長く入居してもらうと下記の稼働率表の通り「稼働率」が上がり経営が安定します。
アパート経営的には「長く入居してもらうこと」は「空室期間を短くすること」と同様に大変重要です。
例えば、入居者が退去後、2ケ月で次の入居者が決まった場合、
(入居期間2年(24ケ月)の場合)
稼働率 92.3%
(入居期間6年(72ケ月)の場合)
稼働率 97.3%
入居者が解約し退去する理由には、結婚や転勤等やむを得ない理由の場合があります。一方、入居中になんらかの不満があって退去する場合があります。賃貸経営者としては、なんらかの不満があって退去しないようにしなければなりません。
(2) 入居者に長く住んでもらうための具体策
何らかの不満があって退去するのを発生させないためには、次のことが重要です。
➀ 退去する時、入居者に退去する理由を聞く。
退去する時、入居者に退去理由が転勤等のやむおえない理由か、それ以外の何らかの理由なのか確認すると今後の改善の参考になります。質問項目としては下記のような項目があります。
(1) 入居理由
なぜこの物件を選んだのか。
(2) 住み心地
物件の力を確認し、問題があれば今後の対策を検討する。
(3) 共用部の清潔度
問題があれば今後の対策を検討する。
(4) 建物のメンテナンス
問題があれば今後の対策を検討する。
(5) 家主または不動産会社の対応
問題があれば今後の対策を検討する。
(6) この部屋を友人に薦めるか
薦めない場合は何故か、理由と対策を検討する。
(7) 退去の中止(取りやめ)
どういうサービスがあれば退去を思いとどまるか。
② 入居中、入居者から不具合等クレームが入った時は、そのクレーム対応を最優先課題として迅速に対応する。
入居中、入居者から建物設備の不具合や、近隣に関するクレームが入ることがあります。クレ-ムが入ったらその解決を最優先課題として対応します。入居者は不具合等あることですでに不満があります。そして、その対応が遅いとそのことについても不満が溜まります。そして、そうした対応が退去理由になる場合があります。
③ 出ていきにくいサービスの提供
入居者の満足度を高め、退去するのを思いとどまるようなサービスを提供し退去を抑止し長く住んでもらえる場合があります。
例えば、
(1)エアコンの定期クリーニング
(2)古いエアコンの交換工事
↓
(3)追い炊き給湯設備への交換工事 等。